特急料金の節約術で、忘れてはならないのがJRの特急と新幹線の「乗継割引」である。これは簡単にいえば、新幹線特急券と在来線特急券をセットで購入すると在来線の特急料金が半額になる制度だ。片道、つまり一方向への乗り継ぎにしか適用できないというのが一般的なイメージだと思うが、実は特急と新幹線が並走する区間で、往路が特急、復路が新幹線といった「折り返しの組み合わせ」でも適用されるのだ。
乗継割引は当日中に乗り継ぐことを前提とした制度であるものの、在来線特急から新幹線への乗り継ぎについては翌日でもOKだ。これは昔、前日発の寝台特急から翌朝に新幹線に乗り継ぐケースを想定して定められた制度のためだが、寝台特急がほぼ消滅した現在も残っている。翌日乗り継ぎがOKなら、1泊の旅行・出張でも使えるということだ。
どんな区間で使えるか
制度上問題ないかどうか、JR東日本広報部に「折り返しの組み合わせ」での乗継割引の適用可否について確認したところ、適用できるとの回答を得た。適用可能としている理由については、旅客営業規則第57条の2の「乗継急行券の発売」の条文で、乗継方向を「とくに指定も制限もしていない」ためだという。
実際に、例えば東京―熱海間で行きは在来線特急、帰りは新幹線を利用して乗継割引で買えるか駅窓口で聞いてみても、問題なく発券してもらうことができた。ちなみに指定席券売機では発券できなかったので、窓口で発売してもらうほかないようだ。
ではこの方法が使える10区間を見ていこう。まず乗継割引が使える駅は以下のとおりである。
●東北新幹線:新青森
●上越新幹線:新潟、長岡
●北陸新幹線:長野、上越妙高(直江津以東のJR線区間が割引対象)、金沢
●北陸新幹線:金沢で特急「能登かがり火」「花嫁のれん」に乗り継ぐと、JR線内の特急料金が半額
●東海道新幹線:新横浜―新大阪間の在来線に併設されている駅(新大阪から大阪まで出て乗り継ぐのも有効)
●山陽新幹線:新大阪―新下関間の在来線に併設されている駅(新大阪から大阪まで出て乗り継ぐのも有効)
●山陽新幹線:岡山で快速マリンライナーに乗り継ぎ、坂出または高松で四国の特急に乗り継ぐ場合も適用
●九州新幹線:なし
今回は、これらの駅を通り、かつ特急と新幹線が並走する区間で10区間を選定した。
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