上海に上陸したヤマト「宅急便」、夢はアジアの“黒猫”《中国を攻める》

日本でも台湾でも、ヤマトはまずCtoCで顧客基盤を確立し、クール便や「手ぶらでゴルフ」など個人客目線のサービス開発でシェアを拡大、価格競争から距離を置いてきた。「C(顧客)への配送サービスをよくすることがCtoC、BtoC、両方の需要を生む」とヤマト幹部。

荷物の多くがBtoCの大衆佐川の幹部も、「ヤマトはCtoCのみで台湾に上陸し成功した。CtoCで市場を拡大するのはヤマトが確立したモデル」と一目を置く。試されているのはこの“CtoC上陸作戦”が中国でも通用するかどうか、だ。

雅瑪多をバックアップする上海市の姿勢は、物流業の拡大をうたった中央政府の「十一五規画」、第11次5カ年計画とも符合する。「北京の中央政府は、これからはサービス業だ。宅急便をモデルにしてやりたい、と言っている」(瀬戸社長)。

1月の上海での営業開始式典には北京から交通運輸部公路司副司長の徐亜華氏が参列。中央政府の後押しを上海市民に強く印象づけた。

中国全土そして東南ア 生きる「羽田の土地」

規制当局との戦いの歴史だった日本国内とは一転、ヤマトは中国で中央政府と蜜月関係にある。瀬戸社長は「日本でも好きこのんで規制当局と喧嘩したわけじゃない。エンドユーザーのために言うべきことがあれば、中国でも言っていく。ただ、中国は日本よりも資本主義」と話す。

また「北京や香港、深n、広州でも始めたい。国民の要望があれば中国全土への展開もやりたい」とその鼻息は荒い。主要各都市に宅配便を根付かせ都市間をつなぐという青写真が念頭にあるからだが、向こう10年で上海に100億円投資、都市が増えるごとに投資額は膨らむ。

大衆佐川の幹部は「上海市民と北京市民は仲が悪い。中国の都市間配送にどれだけニーズがあるのか」と懐疑的だ。佐川は上海に進出後まもなく北京に出たが、上海ほどの市場はないと判断、07年に北京から撤退した。「今も北京に大きな市場があるとの情報は得ていない」。

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