上海に上陸したヤマト「宅急便」、夢はアジアの“黒猫”《中国を攻める》
国内王者がついに世界に挑戦する。シェア4割弱で国内首位のヤマト運輸を傘下に擁するヤマトホールディングスが、上海で宅配便の営業を1月から始めた。ヤマトは今から34年も前に開始した宅配便の草分けだが、意外なことに、ノウハウ提供以外の宅配便の海外展開は今までしたことがなかった。
上海では営業エリアを市内に限定する。「市」とはいえ、上海の人口は東京都をしのぐ1880万人。面積は群馬県ほどだ。上海市民から上海市民へのCtoCで、ヤマトは個人需要の掘り起こしにかかる。
上海で展開するのは「クール便」(冷凍・冷蔵宅配便)や「コレクト便」(代金引換便)、「時間帯お届けサービス」(時間指定便)などの日本同様の本格的な宅配便。こうしたきめ細かいサービスは上海に存在しない。
「違うのは帽子の色だけ」(瀬戸薫・ヤマトホールディングス社長)。中国には、妻を寝取られた男に緑色の帽子をかぶせて侮辱する風習があるという。日本と同じ緑帽ではドライバーが集まらないので薄茶色に変えたが、それ以外は黒猫マークや緑色のトラック、制服や伝票に至るまで徹底的に“日本同様”にこだわった。ブランド名も「宅急便」のまま、英語表記も日本語の音を忠実に再現する“TA‐Q‐BIN”とした。
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