上海に上陸したヤマト「宅急便」、夢はアジアの“黒猫”《中国を攻める》
「採用面接では上海市民を装う地方出身者の偽造IDを見破ることに腐心している」と同社幹部。地元業者が旧正月に1週間も2週間も平気で休むのは、地方出身のドライバーが旧正月に帰省で長期休暇を取るからだ。
最大の難関は“価格” なるかCtoC上陸作戦
交通事情も日本と異なる。上海市民には交通弱者を保護する意識がない。雅瑪多はドライバー研修で日本同様に指呼確認を徹底するが、自動車、バイク、自転車、歩行者が入り乱れての信号無視が横行するなど交通事情の劣悪さは想像を絶する。
大衆佐川はドライバー研修の徹底や日々の注意喚起で、「他社と比較して交通事故は少ないほう」(同)だが、開始当初は事故が絶えなかった。
住宅事情も違う。警備の厳しい上海の「社区」(団地)では、荷物はいったん駐在員(管理人)が預かり、住人は駐在員からの連絡を受けて警備室に取りに行く。また、駐在員とは別に、荷物の取り次ぎを生業にしている者もいて、遮断機付きゲートの付近を絶えずうろうろしている。
これら独特の風習は、ドア・トゥ・ドアの日本同様の宅配便を展開するうえで障害になっている。進出7年目の大衆佐川のトラックですら、今でも団地ゲートの中に入れたり、入れなかったりしているという。
最大の難関は料金体系が上海市民に受け入れられるか、だ。
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