追い込まれる生コン産業、「コンクリートから人へ」でいよいよピンチ! 全国工場3割削減へ

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 こうした厳しい現状に、生コン産業を所轄する経済産業省と業界団体・全国生コンは危機感を強めており、10年4月から5年間で全国の生コン工場を30%、約1200カ所減らす構造改善に着手する。全国生コンが司令塔になって、281ある全国生コン加盟の各都道府県の生コン協同組合(共同販売組織)が自主的に行う方針だ。その際、協同組合のメインバンクである商工中金が構造改善に必要な資金を融資する。

だが、過去の構造改善事業のように法律に基づく公的な支援があるわけではない。「1200工場削減という数字は、自然淘汰(自主廃業)を含めた目標数字と考えている」と吉田治雄・全国生コン会長は話す。

生コン産業を理解するには、キーワードが三つある。(1)生モノに由来する地域性、(2)中小企業の多さ、(3)協同組合による共同販売=価格カルテルの容認、だ。

セメント出荷量の約4分の3は生コンクリート製造用だ。セメント需要は生コン需要と比例し、どちらもここ20年で数量は半減した。

生コンはセメント、骨材(砂、砂利、砕石など)と化学混和剤、水を生コン製造プラントの中で混ぜて製造され、搬送用のミキサー車で建設現場に運ばれる。生コンはその名のとおり、生モノである。品質を保証するために日本工業規格(JIS)は、生コンが製造され、建設現場で荷下ろしし、型枠に流し込むまでの時間を90分以内と規制している。

この規制を順守するには、ミキサー車は60分以内に建設現場に着く必要がある。それは、道路が渋滞する東京都心だと、生コン工場から半径5~15キロメートル程度という狭い商圏を意味する。道路事情のよい地方でも範囲はおのずと限られる。さらに一部の地方では、JISより厳しい60分以内の荷下ろしという規制が、地方自治体などにより課されている。こうした特性から生コンは地域産業であり、中小企業が多いのだ。

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