追い込まれる生コン産業、「コンクリートから人へ」でいよいよピンチ! 全国工場3割削減へ
事業者は協同組合に加盟する際、設備能力を基準に生産・販売シェアを割り当てられる。そしてこのときの販売シェアが、原則として永久に続くことになる。販売シェアに不満を持つ事業者は協同組合から離脱してアウトサイダーとなり、独自に生産量や販売価格を決めるため、地区全体の価格も押し下げられる。
また協同組合方式では、加盟員がお互いに顔見知りになり、濃密な人間関係が形成される。お互い会社の懐事情もわかる。こうした中で、人間関係がこじれると、「経済原則を逸脱して、相手が倒れるまで競争することが起きる」と、大手セメント会社役員は業界の内情を打ち明ける。
目下、日本最安値の地区が大分市だ。「12年ほど前から今の低価格が続いている。われわれもあぜんとする値段だ。協同組合が崩壊したことが原因。建設など兼業の利益やこれまでの蓄積もなくなっている。このままでは共倒れになる。事業者を説得して4月をメドに協同組合を再建し、販売価格を常態に戻したい」と関係者は語る。
一方、協同組合を再建して販売価格を上げた地区がある。広島市だ。「05年に協同組合を再建した。再建前の価格は立方メートル当たり6500円前後と低く、みんな大赤字だったが、今では1万4150円と高い部類に入った」(関係者)。
組織再建のカギは販売シェアの再配分だった。「たとえば、販売シェア3%を持つ事業者が、そのうちの0・5%を他の事業者に貸すことでアウトサイダーに協同組合に入ってもらうという方式だ。見返りに貸与した事業者は金銭をもらうが、その数量を販売したと想定した金額よりは少ない」(同)という。