世界主要国で9月燃料需要増、公共交通機関は低迷 21年末までにコロナ危機前水準を回復の予測も

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9月15日、夏季休暇の終了と学校の授業再開を背景に各国で交通量が増えている。ロンドンで7月撮影(2020年 ロイター/Hannah McKay)

[ロンドン 15日 ロイター] - 夏季休暇の終了と学校の授業再開を背景に各国で交通量が増えている。これに伴い燃料需要も拡大しているが、在宅勤務を続けている人は多く、自動車販売も減少しており、アナリストは、燃料需要の本格的な回復はまだ見込めないと指摘している。

市場関係者によると、新型コロナウイルスへの懸念を背景に公共交通機関の利用を避ける人は多く、自家用車などの利用が燃料需要拡大の主因となっている。

地図情報会社トムトムがロイターに提供したデータによると、ニューヨーク、ロンドン、パリの道路交通量は、緩やかながらも着実に回復。モスクワ、北京ではロックダウン(都市封鎖)導入前の水準に戻っている。

例年、燃料需要は夏のドライブシーズンが終わった9月に減少するが、アナリストによると、今年は9月の燃料需要が8月並みになるとみられている。

ライスタッド・エナジーの石油市場担当シニアアナリスト、Artyom Tchen氏は「道路交通で利用される燃料は、夏季は横ばいだったが、9月最初の10日間で日量70万バレル増えた。特に欧州で目に見えて需要が拡大している」と述べた。

トムトムのデータによると、ジュネーブなど比較的規模の小さい欧州の都市では、交通量が2019年の水準を上回っている。

アプリ「Transit」がロイターに提供した情報によると、多くの都市では9月の公共交通機関の回復ペースが、道路交通の回復ペースを大幅に下回っている。

Transitのデータによると、英国では公共交通機関を利用する人がフランスよりもはるかに少ない。米国での公共交通機関の利用も低迷が続いている。

市場関係者は、燃料消費が今後数カ月で大幅に拡大するとは予想していない。市内の短距離移動では、旅行などの長距離移動に比べれば、燃料の利用量が少ないためだ。

一部の国で新型コロナの感染が拡大していることも、燃料需要の急ピッチな拡大を妨げる原因となっている。

Tchen氏は「多くの通勤客はまだ在宅勤務を続けており、新車販売も低迷している。9月は目に見えて回復したが、この傾向はあまり長続きしないだろう」と述べた。

ジュネーブのガソリン・トレーダーは匿名を条件に、夏季休暇の終了、学校の再開、自家用車の利用で燃料需要が増加する一方、在宅勤務など他の要因で増加分が相殺されそうだと指摘。「9月以降は、需要が小幅に回復する見通しだが長続きせず、第4・四半期、来年第1・四半期、第2・四半期に突入するだろう」と述べた。

複数の業界幹部は14日、世界のガソリン・ディーゼル需要が来年末までに新型コロナ危機前の水準に戻るとの見通しを示した。

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