菅政権の「組閣と政策」を読む上で外せない要点 非世襲・無派閥・官房長官出身の新首相

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そのほか、経産相に留任した梶山氏は菅氏の師匠にあたる梶山静六元官房長官の息子である。国家公安委員長に起用した小此木八郎氏は菅氏が秘書を務め政治家としてのキャリアを始めた小此木彦三郎元建設相の息子。そして岸信夫防衛大臣は菅氏が官房長官を務めた安倍首相の実弟である。

菅政権の政策課題

それでは菅首相はどのような政策に取り組むのであろうか。最重要課題は新型コロナ感染症対策である。菅首相は感染症対策と経済活動を両立させることの重要性を強調している。感染症対策を効果的に行うためには保健所との連携が必要不可欠である。菅首相と加藤官房長官はこれまで官房長官、厚労相として保健所との連携に取り組んできており、こうした努力をさらに発展させていくはずである。

また感染症のため厳しい経済環境に対応する必要性も強調している。必要に応じて経済対策を行う考えを示している。これまで行ってきた持続化給付金やGo To キャンペーンの継続、拡充が考えられる。  

このほか、菅首相がこれまでに強調している政策はデジタル化と行政改革・規制改革以外に4つある。

第1は少子化対策である。このために不妊治療の保険適用と待機児童の解消、女性が活躍できる環境整備を行うことを明らかにしている

第2は中小企業政策である。総裁選の活動中に首相は中小企業の統合・再編を進めること、このために中小企業基本法を見直す考えを示している。また、最低賃金の引き上げを検討する姿勢も見せている。

第3は地方政策である。首相は観光振興と農産物の輸出が地方活性化につながったことに言及し、この政策を継続していく方針である。外国人観光客を積極的に招くことは現在の状況では難しい。だが、日本人も海外には行きにくい状況にあり、日本人の国内観光をGo to Travelに続きさらに促進することは十分考えられる。

最後は携帯電話の通話・通信料金の引き下げである。首相はこれまでの会見で必ずと言っていいほどこの課題に触れており、その実現に向けた政策を実施するはずである。

竹中 治堅 政策研究大学院大学教授

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たけなか はるたか / Harutaka Takenaka

1971年東京都生まれ。1993年東大法卒、大蔵省(現財務省)入省。1998年スタンフォード大政治学部博士課程修了。1999年政策研究大学院大助教授、2007年准教授を経て現在、教授。主な著書に『参議院とは何か 1947~2010』(中央公論新社/2010年/大佛次郎論壇賞受賞)など。

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