偽情報にまんまと操られる人が大量発生する訳

ソーシャルメディア上に広がる禍々しい情報戦

実際に、選挙介入の予兆を感じさせるニュースも飛び出した。今年の夏のことだ。トランプ氏が久しぶりの選挙集会をオクラホマ州で開いたところ、当初予想とは様変わりで空席が目立った。韓国のKポップファンに加えて、ティックトックユーザーが運動した結果との見方が出た(ソーシャルメディアの力を借りて4年前の大統領選挙にトランプ氏が勝利したことを考えると、皮肉なものだ)。

ロシア勢も大統領選挙に向けてソーシャルメディア上で活発に動いている。それを裏付けたのがフェイスブックだ。選挙があと2カ月余りとなった9月初頭、ロシア系トロールファーム(情報工作組織)「インターネット・リサーチ・エージェンシー(IRA)」関連の偽アカウントやページを見つけ出し、削除した。

IRAには前科がある。2016年の大統領選挙でロシア当局の意向を受け、フェイスブック上で大量の政治広告を出したのだ。アメリカの情報機関はかねて「ロシア勢が再びアメリカ国内で陰謀論を拡散させ、社会の分断を狙っている」と警鐘を鳴らしている。

そんなこともあり、フェイスブックは9月に入って、選挙期間中のフェイクニュース対策として政治広告規制を打ち出した。投票日までの1週間については新規政治広告を全面禁止するというのが柱になっている。

フェイスブックの広告規制にトランプ陣営が猛反発

これにはトランプ陣営が猛反発し、「何百万人もの有権者が投票行動を決めようとしているときにシリコンバレーのマフィアは大統領から発言機会を奪おうとしている」との声明を発表した。アメリカでは外国勢力に加えて、トランプ陣営や国内極右勢力も偽情報活動に入れ込んでおり、政治広告規制は目障りなようだ。

個人的な話になって恐縮だが、私は2017年夏に発足した非営利団体「ファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)」の発起人の一人になり、一時期ファクトチェック活動に深く関わっていた。その意味で『マインドハッキング』の翻訳作業はことのほか興味深かった。

言うまでもなく、ファクトチェックはフェイクニュースと表裏一体の関係にある。フェイクニュースを見抜くためにファクトチェックが存在するのだ。

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