AppleWatchの進化に見た「家族囲い込み」の要諦 オンライン需要に引っ張りだこのiPadも刷新

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iPhoneを持っていない子どもや祖父母のためのApple Watchを、家族のiPhoneとペアリングすることができる機能だ。これまでiPhone 1台とのペアリングが前提だったが、ファミリー共有設定によって、1台のiPhoneで複数人が使うApple Watchをセットアップできるようになる。

GPS+CellularモデルのApple Watchの場合、家族のiPhoneとは別の電話番号をApple Watch単体に持たせて、通話やデータ通信を行うことができるようになる。なお、基調講演の中でも日本のauのロゴがあり、KDDIでは当初からこの機能をサポートする。

心配されるバッテリー持続時間だが、ファミリー共有設定をしたApple Watchは、専用の最適化が行われ、最長14時間、単体で通信をしながら動作させることができる。iPhoneとペアリングした際の18時間よりは短くなり、また毎日の充電は欠かさず必要となるが、実用上は問題ないだろう。
子ども向けには、機能制限や、学校の時間中に勉強に集中できるようにする仕組みが有効だ。また高齢者には、アクティビティや点灯していないかどうかをチェックすることができ、いずれの場合もGPSで居場所を確認できるようになる。iPhoneを持たせるより、コストも持ち物としても気軽な選択肢になりそうだ。

ただ日本の学校では、スマートウォッチはもちろん、腕時計ですら持ち物として禁止されているところも少なくない。Apple Watchを子どもに持たせること自体、新しい取り組みであるため、教育環境でいかにして受容されていくのか、少なからずメーカーの工夫や親の学校への働きかけが必要だ。例えば、Apple Watchのバンドを取り払い、みまもりGPSのような形でカバンにぶら下げることも考えられ、そうした用途のためのアクセサリーも充実しそうだ。

ウェアラブルを家の中で使わせるApple Fitness+

Apple WatchはAppleの製品ラインナップの中で、最も成長率の高い「ウェアラブル」部門に属しており、すでにFortune 140企業の規模(年間売上高約225億ドル)に達している。Apple WatchはAirPodsとともに、10億を超えるユーザーベースを誇るiPhoneユーザーをメインターゲットとしているが、まだまだ成長余地はある。

しかし、新型コロナウイルスの影響で、外出そのものが制限され、これが新しい生活様式として定着しつつある。そうした中で、Appleも、今のままでは成長路線を維持できないと考えているはずだ。だからこそのミドルレンジApple Watchの投入や、家族みんながApple Watchを使えるようにするサービスの追加を行っている。

世界のトップトレーナーのビデオと共にエクササイズを楽しめるApple Fitness+(写真:アップル基調講演ビデオより)

さらに、アップルは、Apple Fitness+という新しいサービスを追加した。iPhone、iPad、Apple TVの画面から、ヨガ、筋力トレーニングなどの主要な10のエクササイズを、一流のコーチに習うことができる。その際、トレーニングビデオの画面には、自分の心拍数やアクティビティリングが表示され、その成果をリアルタイムで見ることができる。

自宅の中で行うフィットネスとしては、ニンテンドースイッチ向けの「リングフィットアドベンチャー」が人気で、2020年前半の自粛期間に製品として存在していたこともあり、1つのモデルとなった。Fitness+は、Apple Watchとアップルデバイスで同様の習慣づけを導入しようとしており、外に出られなくてもアクティブに運動したいユーザーを狙っている。日本人にとっても期待のサービスになりそうだが、2020年末の開始時点で、日本向けには用意されない点は残念だ。

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