AppleWatchの進化に見た「家族囲い込み」の要諦 オンライン需要に引っ張りだこのiPadも刷新
アップルはアメリカ時間9月15日、オンラインイベントを開催し、最新のApple Watch、iPad、サービスを発表した。例年9月のイベントではiPhoneがメイントピックになるが、今回の発表では触れられなかった。
ステイホームという新たな習慣化は「モバイルしない生活」をもたらし、スマートフォンやウェアラブルへの興味を一時的に失わせている。そこにいかに対処するのか?という視点で、今回の発表を見ていこう。
今回の発表を総括して、キーワードとなっているのは、「家族」というマーケティング単位の強化と、アップルがかねてより実践する製品展開を忠実に具現化していることだった。
家族で楽しめるサービスを強化
まず、「家族」というマーケティングの単位の強化だ。
アップルは、より使いやすいインターフェース、シンプルな設定、プライバシーなど、人々が安心して利用できる製品作りを心がけている。象徴的なのは、ユーザーに複雑なスキルを要求しすぎることなく、「ただ、動作しているだけ」という状態をいかに作るかということだ。その結果、教育市場でのプレゼンスは引き続き高く、またiPhoneの若年層への人気などにも反映されている。
そうした中で、今回アップルは、マーケティングの単位として「家族」をより顕在化させた。iPhoneを持たない子どもや高齢者を、単独で通信可能なApple Watchで見守ることができる「ファミリー共有設定」を追加した。また複数のサービスを束ねた「Apple One」のファミリープラン以上は、6人の家族で共有することができ、日本では1200円以上割引を行っている。
Apple OneにはApple MusicやApple ArcadeなどのサービスとiCloud追加ストレージが含まれるが、これらのサービスやクラウドサービスに家族単位で登録することで、Appleデバイスへの囲い込みを強化する狙いが透ける。スマートフォン市場が飽和し、ステイホームの生活様式でウェアラブル市場にも逆風が吹く中で、モバイル・ウェアラブルから、総合力での勝負へと軸足を移しているようだ。
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