AppleWatchの進化に見た「家族囲い込み」の要諦 オンライン需要に引っ張りだこのiPadも刷新

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アップルは今回、スマートウォッチにはミドルレンジとなるApple Watch SEを、またタブレットには10.2インチのiPad(第8世代)と、新しいデザインが与えられた10.9インチiPad Air(第4世代)が追加された。アップルは2020年4月に廉価版となるiPhone SEを刷新したばかりだ。

これにより、iPhone、Apple Watch、iPadの主力製品は、3つの製品グレードをきちんと埋め、最新ラインナップの完成にこぎ着けた。アップルでは「Good」「Better」「Best」と呼んでいるが、日本語で言えば「松竹梅」がわかりやすいかもしれない。

iPhoneは、2019年モデルでは、iPhone 11とiPhone 11 Proが用意された。それぞれBetter、Bestに相当しており、2020年モデルのiPhone SEの登場で、Goodの枠が埋まった。

Apple Watch Series 6を披露するジェフ・ウイリアムスCOO(写真:アップル基調講演ビデオより)

Apple Watchはこれまで、最新モデルのApple Watch Series 5がBest、エントリーモデルのApple Watch Series 3がGoodだったが、今回の刷新でGoodは据え置かれ、BetterにApple Watch SE、BestにApple Watch Series 6が入った。

iPadについても、iPad Proを最高峰のBestとして、今回登場したiPad AirをミドルレンジのBetter、iPadをエントリーモデルのGood、という展開を実現した。

Goodのモデルで入門し、多くの人にとって、Betterに相当するモデルで十分な満足度が得られる。しかしプロユースなど、より性能を求める人のために最上位モデルを用意し、テクノロジーの先進性やブランドを牽引する。

2020年、新型コロナウイルスの影響を受け、多少の製品リリースのタイミングがずれたかもしれない。特に2020年モデルのiPhoneが遅れたことは、インパクトが大きい。しかし、俯瞰してみると、今年、主力製品のラインナップをより強固なものとする事に成功した。そうしたわかりやすさと合理性は、今後のアップル製品における盤石なマーケティングを確固たるものにしていくだろう。

ついに「血中酸素濃度」まで計測

ここからは、個別の製品やサービスについて触れていこう。ハードウェア、サービス面で大きく進化したのがApple Watchだ。

Apple Watch Series 6は、これまでの製品ラインを進化させ、新たに血中酸素濃度を計測する「血中酸素ウェルネスアプリ」を搭載した。あくまで日常利用のためのものだが、心拍計、心電図に加え、VO2MAX(最大酸素摂取量)の計測を実現してきたApple Watchに、新たに血中酸素濃度を加え、日常的なバイタルチェックの機能が向上した。

医療用ではないとしても、エクササイズの成果を測ったり、生活習慣を改善していく過程での変化を読み取るなどの活用方法がある。またこうした計測値が身近に得られる事は、健康や体の仕組みを知るきっかけにもつながるだろう。

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