グリーとディー・エヌ・エーを分析する

群雄割拠のソーシャルゲーム業界の先行きは?

ここから何がいえるかといいますと、まだライバルが少なく、ソーシャルゲームが立ち上がった時期から現在まで、先にも見たように非常に高い利益率で稼いだということです。ソーシャルゲーム業界というのは、製造業や通信大手のように設備投資がそれほどかからず、いったん製品が売れ始めても、固定費も変動費も多くはかかりません。ですから、損益分岐点が低いうえ、売り上げがそれを超えると莫大な利益を得られるのです。

ただし、この業種は参入しやすい構造になっていますから、すぐに競合が増えてしまいます。つまり、短期的にはヒットタイトルが出れば一気に儲かりますが、ビジネスモデルが陳腐化しやすいうえ、他社が魅力的なコンテンツを出すと、利益率がどんどん落ちてくるという業種なのです。

グリーとDeNAは、再び盛り返せるのか?

では、今後、2社の業績が回復する見込みはあるのでしょうか。成長性を見るためには、一般的にはキャッシュ・フロー計算書から、設備投資をどれだけ行っているか、営業キャッシュ・フローをどれだけ稼いでいるかなどを分析すると分かりやすいのですが、この業種は見極めが非常に難しいのです。

例えば、グリーの場合(8ページ)を見てください。「投資活動によるキャッシュ・フロー」のうち、土地や建物などの設備投資を示す「有形固定資産の取得による支出」は、わずか1億円しかありません。また、ソフトウエアなどの投資にあたる「無形固定資産の取得による支出」も、19億円しかありません。189億円もの営業利益を稼ぎ出す会社としては、投資額が非常に小さいのです。

つまり、この業種は設備投資などの先行投資を多く必要とするものではないのです。だからこそ、莫大な現金を得られるうえ、高い利益率からさらにおカネが貯まっていくという構図なのです。優位性を維持するために、ソフトを購入したり、あるいは、ソフトをつくる会社を買収することはありますが、いずれにしても設備投資などにたくさんの資金が要る産業ではありません。こうした理由から、投資キャッシュ・フローの額から成長性を見極めるのが難しいのです。

次ページ投資額を絞っているグリー
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