グリーとディー・エヌ・エーを分析する 群雄割拠のソーシャルゲーム業界の先行きは?

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ただし、グリーの場合は業績が陰ってきたことから、今期は投資額を絞っていることに注意してください。「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、前年同期は283億円計上していましたが、今期はわずか21億円です。これは、前期は好調だったことから積極的に投資を行っていましたが、業績が悪化した今期は支出を減らしたと考えられます。

今後、グリーやDeNAの業績が再び盛り返すかどうかは、予測ができません。先ほども説明しましたが、この業界は当たれば大もうけできますから、ひとえにゲームのヒット作が出るかどうかにかかっているからです。

ただ、ベースの部分で、ある程度の利益を出し続けることができれば、ヒット作を生み出すまでの時間や資金を稼ぐことができます。あとは、確率論です。当たるゲームが出るかもしれませんし、出ないかもしれない。そういう意味でも、成長性の見極めが難しいのが、この業界の特徴です。

このビジネスモデルでの成長がいつまで続くかはわかりませんが、ソーシャルゲーム自体が廃れているわけではありませんから、しばらくは高収益が続くのではないかと思います。いずれにしても今後の業績に注意が必要です。

小宮 一慶 経営コンサルタント

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こみやかずよし / Kazuyoshi Komiya

小宮コンサルタンツ代表取締役CEO。大企業から中小企業まで、企業規模や業種を問わず、幅広く経営コンサルティング活動を行う一方、講演や新聞・雑誌の執筆、テレビ出演も行う。著書に『「なれる最高の自分」になる方法』『ビジネスマンのための「習慣力」養成講座』(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)、『小宮一慶の「日経新聞」深読み講座』(日本経済新聞出版社)、『株式投資で勝つための指標が1冊でわかる本』(PHPビジネス新書)など。

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