パズドラの勢い持続。中国語版も投入へ ガンホーの1Q決算、通期増収増益へ好発進

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2月20日に開催されたパズドラ2周年イベントにて。森下一喜社長と山本大介プロデューサー

スマホゲーム「パズル&ドラゴンズ(パズドラ)」を展開するガンホー・オンライン・エンターテインメントの快進撃が止まらない。

同社が4月28日に発表した2014年1~3月期決算は、売上高499億円(前年同期比61.5%増)、本業の稼ぎを示す営業利益は287億円(同54.6%増)と、ともに過去最高を更新した。任天堂のニンテンドー3DS向け「パズドラZ」の発売に向けたテレビCMやイベント実施が一巡し、広告宣伝費が通常ベースに戻ったことで、2四半期連続で減少していた営業利益もV字回復した。

6タイトルすべてが黒字化

「展開している6タイトルのすべてが黒字化した」。森下一喜社長は新作への手応えを語るが、同社の目下の高収益を一手に支えているのが、国内累計2700万ダウンロードを超えたパズドラであることに疑いはない。2012年2月にリリースから2年を超えた現時点でも、アップル向け、グーグル向けともに国内トップセールスを維持している。

あわせて同社がもっとも重視する、月に1回以上ログインしている利用者数(MAU)も順調に伸びている。こうした「一作を長く楽しんでもらうテーマパーク型運営」(森下社長)の結果、昨年12月以降は月次売上高でも150億円以上をキープ。期初に掲げた通期での前期比増収増益に向け、順調なスタートを切ったといえそうだ。

今後の注目は、今期の重点戦略に掲げた海外展開と新ゲーム戦略だ。海外では目下、トップセールスを獲得した香港でパズドラ人気に火がついている。海外でのMAUも今年に入って急騰。中国語版のリリースも「準備中」(森下社長)だとしている。欧米は親会社のソフトバンクと共同で買収した、フィンランドのスマホゲーム会社「スーパーセル」との連携に加え、「さまざまな企業と関係を強化したい。広告宣伝費の投下のほか、さらなるM&A活用もある」(森下社長)と意欲を語る。

新ゲームは配信開始1カ月半で100万ダウンロードを突破した、ボードゲームの「サモンズボード」などへの期待も高まるが、やはり最注目はパズルに特化した新ゲームを追加した「パズドラW」だろう。モンスターの育成などロールプレイングゲームの要素が難しいとするライトユーザーに向けた、パズルアクションに特化した新ゲームだ。

今春の投入予定だったが、「ブラッシュアップを続けており、若干遅れている」(森下社長)とするが、同ゲームの成否は未体験者やライトユーザーにもパズドラを訴求しさらにその裾野を広げることができるか否かの、格好の試金石といえそうだ。

風間 直樹 東洋経済コラムニスト

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かざま・なおき / Naoki Kazama

1977年長野県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒、法学研究科修了後、2001年東洋経済新報社に入社。電機、金融担当を経て、雇用労働、社会保障問題等を取材。2014年8月から2017年1月まで朝日新聞記者(特別報道部、経済部)。復帰後は『週刊東洋経済』副編集長を経て、2019年10月から調査報道部長、2022年4月から24年7月まで『週刊東洋経済』編集長。著書に『ルポ・収容所列島 ニッポンの精神医療を問う』(2022年)、『雇用融解』(2007年)、『融解連鎖』(2010年)、電子書籍に『ユニクロ 疲弊する職場』(2013年)など。

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