グリーとディー・エヌ・エーを分析する 群雄割拠のソーシャルゲーム業界の先行きは?

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ただ、テレビCMなどの広告宣伝費を落としたために「販売費及び一般管理費(販管費)」が362億円から328億円まで減っています。以上の結果、営業利益は前年同期の300億円から189億円まで落ち込みました。

そこで、グリーは希望退職者を募集したわけですが、最終的には昨年12月末にかけて約340人の従業員が減少しました。この人員削減にかかった費用は、特別損失のうち「その他」に計上されています。10億円と小さな額ですが、これは従業員の雇用期間が短いため、退職金の割り増しなどもそれほど出なかったと考えられます。

しかし、グリーの収益性自体は悪くありません。どれだけ効率的に利益を出しているかを示す売上高営業利益率(営業利益÷売上高)は、27.9%と非常に高い水準です。ただ、数年前の絶好調時のように50%前後という超高収益業ではなくなりつつあります。ゲームのアイテム課金によって莫大な収益を得るようなビジネスモデルが、以前ほど通用しなくなってきているのです。

それでも、いまだに優良企業であることは間違いありません。貸借対照表(4~5ページ)からも、安全性の高さがうかがえます。資産の部を見ると、「現金及び預金」が537億円計上されていますが、これは月商4.7カ月分にあたる額です。一般的に、大企業であれば月商1カ月分強の現預金を持っていれば安全だといわれていますから、グリーの場合は十分すぎるほどの現預金があるといえるのです。

さらに、中長期的な安全性の指標となる自己資本比率(純資産÷資産)を計算すると、69.9%と非常に高い水準ですから、安全性には全く問題がありません。

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