スガノミクスとアベノミクス4つの大きな違い

一見同じでもスガノミクスの方がまだマシかも

一方、自分の任期中には増税は絶対にしない。このように、姿勢だけで長期の投資家の支持を受け、短期には増税を先送りすることで、短期の国内需要の減少、短期的な株価ショックも回避する。極めて合理的である。

さらに言えば、増税については消費税と明言することで、大企業に対する増税でなく、低所得者を含む、生活者に課税することを主張し、金融市場や大企業中心の株式市場には負担が及びにくいことを示唆する。消費者よりも企業優先だから、この点でも、長期的な消費税増税方向の打ち出しは合理的な政策なのだ。

カジノ誘致にはこだわらないほうがいい

第5に、一方、ミクロの財政支出は、古いスタイルの産業政策になると思われる。典型例が、IR(統合リゾート)であり、カジノ誘致である。これは昭和の産業政策である。政府が、有望と思われる産業を育成する政策である。すでに平成、これは経済に悪い影響をもたらすことがはっきりしており、令和においては、もはや最悪の政策で、ほぼすべての方面から攻撃を受けるだろう。賛成するのは、それで直接潤う業界だけで、アメリカのカジノ企業および日本の娯楽産業だが、中期的にすら失敗ははっきりするだろう。

なぜなら、カジノが世界的に衰退産業であり、ラスベガスもマカオも苦し紛れに活路を日本に求めているのが世界のカジノ企業の実態だからだ。そもそも過当競争であり、コロナによる自粛生活で、自宅からできるギャンブルである競馬などは売り上げが増えたものの、あくまで例外的だ。コロナ後は、以前のトレンドどおり、ギャンブル産業全体が衰退していく。激しい生存競争の中で、カジノに対する抵抗感が強く、規制が強くかけられる日本で、勝ち残れるはずがない。

さらに、カジノの大きな問題は、カジノがうまくいかず、ほかの土地利用に変更しようとしたときに、それが難しいことだ。カジノが撤退すれば荒れた町だけが残る。そこに失業者とカジノに依存していた、飲食業者、娯楽業者が残る。いいことがあるはずがない。経済的に失敗するだけでなく、社会的にも大きな悪影響を残す。

もっと言えば、根本的に間違っているのは、日本の観光ブランド戦略として、IRやカジノ戦略はそぐわないことだ。日本観光のイメージにマイナスになりこそすれ、プラスにならない。ほかに売るものがないところがカジノにすがるのであれば理解できなくもない。だが、日本はあふれる潜在力を活かしていないのが問題なのだ。本来は、カジノという飛び道具に頼る理由がないはずだ。

これらを鑑みると、カジノやIRに力を入れるのは「特定の業界への利益誘導型の産業政策が好きだ」、という以外に考えにくい。こうした政策は古い、昭和の政策だ。

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