スガノミクスとアベノミクス4つの大きな違い 一見同じでもスガノミクスの方がまだマシかも

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競馬である。

日本のJRAは、世界的に競馬産業が衰退する中で、多くの人々、女性や若者をファンとして動員し、草の根から、馬券購入者、そして一口馬主という庶民的な資本家を産み出す事に成功し、世界で圧倒的な成功を収めた。

これほど資金が潤沢な競馬業界は現在では世界に存在せず、この豊かさがサンデーサイレンスなどの超一流馬が日本に集まることをもたらし、いまやスポーツとしてのレース競馬としても、生産としての競走馬産業としても、そしてエンターテインメント産業としての競馬においても、世界的にダントツの業界となっている。やはり、ボトムアップ、消費者主導の産業政策が現代においては望ましいのである。

さて、そのサンデーサイレンスの息子たちの中でも、決定的に日本の競馬を世界一にしたのがディープインパクトだ。今や、「ディープの血」を世界中の馬生産者が求め、アラブの王様もよだれをたらして日本のサラブレットオークションにやってくるようになった。

セントウルSは、クリノガウディーの復活に期待

しかし、珍しいことに週末の西の重賞であるセントウルステークス(G3、中京競馬場11R、距離1200メートル)は、古馬戦であるにもかかわらず、ディープの子が1頭も出ていない。しかも、それにすぐには気づかないくらい、日本の競走馬は全体のレベルが上がっている。

今後も、世界における絶対的な優位は揺るがない。後は、象徴的な意味を持つ、凱旋門賞を勝つだけだ。

「春の古馬短距離ナンバーワン決定戦」である高松宮記念(G1)で1位入線しながら4着へ降着となってから、まったくいいところのないクリノガウディー。相対的には、日本の伝統的な血統を引いていると言えそうなこの馬から。復活を期待して単勝。

小幡 績 慶應義塾大学大学院教授

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おばた せき / Seki Obata

株主総会やメディアでも積極的に発言する行動派経済学者。専門は行動ファイナンスとコーポレートガバナンス。1992年東京大学経済学部首席卒業、大蔵省(現・財務省)入省、1999年退職。2001~2003年一橋大学経済研究所専任講師。2003年慶應大学大学院経営管理研究学科(慶應義塾大学ビジネススクール)准教授、2023年教授。2001年ハーバード大学経済学博士(Ph.D.)。著書に『アフターバブル』(東洋経済新報社)、『GPIF 世界最大の機関投資家』(同)、『すべての経済はバブルに通じる』(光文社新書)、『ネット株の心理学』(MYCOM新書)、『株式投資 最強のサバイバル理論』(共著、洋泉社)などがある。

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