安倍首相辞任と後継首相選びに注目が集まり、すっかり影が薄れたが、8月28日に政府からはもう一つ重要な発表が行われていた。それは、これまでの新型コロナ対策を見直すというものである。とくに注目されるのは、感染症法における新型コロナ対策の運用の見直しである。
現在、新型コロナは「指定感染症」に指定されており、「2類感染症以上の取り扱い」となっている。感染症法では、感染症を危険度によって最も高い1類から相対的に低い5類まで分類し、それぞれに該当する疾病と取りうる措置が明記されている。この分類とは別に感染症法では、「指定感染症」として、政令によって時限的に1~5類に相当する対応を準用できる。
季節性インフルエンザと同等の扱いでよい
中国武漢市での感染拡大が伝えられた当初、新型コロナは「2類感染症相当」に位置付けられた。その後、1類で可能になる「無症状者への適用」が追加され、さらに、1類でも指定されていない「外出自粛要請」「建物の立入制限」なども加えられて、現在は「2類感染症以上」になっている。
8月28日には、新型コロナに「2類感染症以上の取り扱い」がふさわしいのかどうか、再検討することが表明されたのである。具体的な議論については、9月16日に発足する新政権が引き継ぐことになる。
では、感染症法における取り扱いをどのように見直すべきだろうか。筆者は「指定感染症」そのものを解除して、感染症としては季節性インフルエンザと同レベルの対応に変えるべきと考える。理由は以下の3点である。
第1に、足元までのデータで確認される限り、新型コロナは2類や1類に該当するほど危険性が高くなかったからである。
当初は未知のウイルスであり、中国武漢市での肺炎患者の急増などを踏まえれば、指定感染症とすることはやむをえない対応であった。しかし、その後半年を経て、新型コロナは「あらゆる犠牲を払ってでも回避すべき」といった脅威のウイルスではないと判断できるようになった。
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