首都圏で「違法金属くずの山」が次々現れた事情 廃棄物処理法守らず環境汚染する事例が続出

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輸出側の日本、輸入側の中国と双方で規制を強めたことから、雑品スクラップを扱う業者は激減した。それは、取引価格へ顕著に表れている。

中国政府は本格的な輸入停止に踏み切る前の2017年、中国国内の違法業者を淘汰し、資源輸入量を縮小する措置をとった。

日刊市況通信によると、この措置がとられる前には、雑品はキロ40円台の値がつくことが多く、鉄スクラップの20〜30円に比べて高かった。リーマン・ショック前の2007年には、キロ70円を超えたときもあるという。現在、雑品価格は低迷。日刊市況通信のデータでは、2020年7月は17〜19円で、鉄スクラップの22~23円に比べて低い数字で推移している。

雑品スクラップの輸出が盛んだったころ、国内で不用品回収業者から使用済み家電が混じる雑品を買い取る「雑品屋」と呼ばれる業者には、中国系の人が多かった。「ヤード」と呼ばれる集積所で働く人も中国系が多く、「言葉が通じないので実態がよくわからない」と嘆く自治体も多かった。リサイクル業界関係者の間では、日本にいる中国系の雑品屋は約5000人ともいわれた。

埼玉県小川町のケース以外にも、使用済み家電を含む雑品ビジネスが再開されつつあることを示す兆候がある。埼玉県では川島町でも同様の事例があり、8月31日、県は改善命令を出した。群馬、茨木県などでも同様の動きがある。

輸入禁止措置をかいくぐって

政府による雑品スクラップ輸出の規制強化に協力した日本鉄リサイクル工業会は最近、会員企業からそうした報告を受けた。

「いま雑品スクラップの価格は安いので、目端の利く人がリスクをとって中国への輸出を再開しているのではないか、という噂を耳にしました。輸入禁止措置をかいくぐって中国に持ち込めれば、売り先はあるでしょう。中国の粗鋼生産は増えていますし、中国はコロナ禍からの立ち上がりが早く、GNPの上昇を鉄鋼生産が担っている面もあります」と、関係者は話している。

リサイクル関係者の中には、中国側で輸入禁止の目こぼしが出てきたのではないか、と勘繰る向きもある。「それは絶対にありません」と否定するのは、非鉄金属の輸出商社、東京資源の布村文雄社長。しかし、「中国以外のタイやマレーシアに輸出されている可能性はある。また同時に、いまは雑品スクラップの値が安いので、輸出せず、国内で解体・分別して売れば採算が合うのではないか」という。

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