仕事中「なぜか機嫌がいい人」がしていないこと 完璧といえない仕事人生で満足度を高めるには
心理学の世界では、「戦略的楽観主義」と「防衛的悲観主義」という分類があります。戦略的楽観主義の人はうまくいった場合を思い描き、それを実現させようと努めます。対して防衛的悲観主義の人は、失敗した場合のことを考え、そうならないように努力します。複数の研究によると、どちらも同じように成果を出せることがわかっています。ただし、防衛的悲観主義の人に無理やり前向きになってもらった場合だけは例外でした。
もう1つ、「再評価」と呼ばれる方法があります。ストレスや不安を感じると、心拍数が増える、ストレスホルモンのレベルが高まるといった変化が起きます。こうした身体的な変化は、興奮したときに起きる変化とほぼ同じです。
ハーバード・ビジネス・スクールのアリソン・ウッド・ブルックスは、この点をうまく利用して、ストレスを「わくわくしている」ととらえ直すと(声に出して「私はわくわくしている」と言ってみるなど)よい成果を出せることを突き止めました。心理学者ウィリアム・ジェームズは「ストレスに対抗する最大の武器は、別の思考を選択する能力である」と述べています。
すべきことは何かを明確にする
これは満足感をどうやって高めるかというより、不要なストレス要因をいかによせつけないかの話です。不確かな状態は不安なものです。いま自分が何をすべきなのかわからず混乱した状態では、うしろめたさと心配で心が苦しくなります。
職場で心もとない気持ちを抱えていると、自分がいなくてもいい人間に思え、仕事に対する不安が募ります。遅くまでオフィスに残ってできるだけのことをしようとするものの、達成感も感じなければほっと安堵することもありません。カリフォルニア大学バークレー校のモーテン・ハンセンが行った調査によると、上司からの指示が不十分なせいで業務に集中できないことがよくあると答えた人は4人に1人にのぼっています。
自分はちゃんといい仕事ができている。そう思えれば、残業せずに早く帰ることも、休みをとることも遠慮せずにできるものです(成果を出している人のほうが同僚よりも2倍近く休みをとっているという報告もあります)。仕事に自信をもつための第一歩になるのが、上司が考える優先順位を知ることです。
「しかるべき適切な仕事に取り組むことは、献身的に働くよりもおそらく大切」フリッカーの共同創業者、カテリーナ・フェイクはそう述べています。
「仕事ができない人」と思われないようにしながら、上司に意向をたずねるにはどうすればいいでしょうか。新製品発表のメールと報告書のドラフトのどちらが急ぎなのか判断がつかない場合、わからなくて困っているとただ上司にぶつけるのはよくありません。