アマゾンで最高の会議は「一言も話さない」会議 「意思決定の質と速さ」は事前準備で9割決まる

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実は、こうした無駄なやりとりを非常に嫌うのが、創業者ジェフ・ベゾス氏です。すでに書いてあること、説明が予定されていることを質問するのは無駄です。読みながら、わからないところにクエスチョンマークをつけ、後のページで説明されていたらマークを消し、残ったものだけについて質問したほうが、時間的にはるかに効率がよい、と考えて、このような沈黙をルール化したのです。

「一言もしゃべらない会議」が最高の会議

「意思決定会議」においてベゾスは、まず黙って会議資料を読むことを徹底させました。そして読む時間を取った後で、ファシリテーターが「何か疑問点がありますか」と聞き、それから議論に入るようにしたのです。

ファシリテーターによっては、議論に入る前に資料の内容について簡単なサマリー(概要)を述べることもありますが、これは必須ではありません。15分経過したら、全員が資料の内容を一通り理解したという前提ですぐに議論を始めて構わないのです。

だから、アマゾンで考えられる最高の会議は、沈黙のままに終わる会議なのです。黙って資料を読み終えたところで、「何か疑問点がありますか」と参加者に尋ね、疑問や懸念がなければ、沈黙のまま会議は「これでいきましょう」ということで終わりです。

もちろん、現実的にはそうしたケースはアマゾンでも稀です。また、みんなでアイデアを出し合って検討するような会議では、もちろん沈黙のまま終わるはずがありません。

しかし、意思決定を目的とした会議では、何も疑問が出ない資料が提出されれば、究極、参加者は議論をせずに、すべて承認してその会議を終えることができます。

それが、アマゾンでは最高の会議とされています。

佐藤 将之 エバーグローイングパートナーズ代表取締役/事業成長支援アドバイザー

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さとう まさゆき / Masayuki Sato

セガ・エンタープライゼスを経て、アマゾンジャパンの立ち上げメンバーとして2000年7月に入社。サプライチェーン、書籍仕入れ部門を経て、2005年よりオペレーション部門にてディレクターとして国内最大級の物流ネットワークの発展に寄与。2016年、同社退社。現在は鮨職人として日本の食文化の発展に携わるとともに、成長企業での15年超の経験を生かし、経営コンサルタントとして企業の成長支援を中心に活動中。著書に『アマゾンのすごいルール』『アマゾンのすごい問題解決』(宝島社)、アマゾンのスピード仕事術」(KADOKAWA)、などがある。

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