「つくば市」の人口が33年も増え続けている理由 未来科学都市の側面と交通アクセスの良さ

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さらに、つくば市は学園都市としての側面も持つ。同市は2012年度から市内全小・中学校53校15学園において、小中一貫教育を開始した。その後、新設校ができ、現在は義務教育学校4校を含む16学園・学校となっている。

2015年度から2020年度にかけての「第2期つくば市教育プラン」では「教育日本一」を掲げてICT教育の充実などに取り組んできた。小中一貫校制度やつくばスタイル科という研究都市の教育的資源を活かした独自の教科などの教育環境が子育て世代の支持を受け、県外からの人口流入につながっている。

ICT教育の歴史は40年前にさかのぼる

実は、つくば市のICT教育の歴史は古い。今から40年以上も前の1977年度には竹園東小で日本で初めてのコンピュータ教育が始まった。1999~2003年度にかけては文科省の「先進的教育用ネットワークモデル地域事業」が実施された。2019年度には全中学校の全普通教室に電子黒板が導入され、「学校ICT活用フォーラム」(文科省主催)の授業公開が市内の学校で行われた。

こうした教育への取り組みについて市民からは「1校あたりの生徒数が適正化できれば素晴らしい教育だと思う」「小中の連携はさまざまな取り組みがなされており満足しています」といった肯定的な評価がある一方、「高校受験、大学受験を考えた場合、県立や私立の一貫校との差が大きすぎる」「小中一貫校も良いと思うが中高一貫校があったらなと思う」といった声も挙がっている(「つくば市の小中一貫校の成果と課題」2018年から抜粋)。

全般的には、子育て世代の支持を得ているようだが、市の教育方針はいま、微妙な転換期にある。来年度からの「第3期つくば市教育振興基本計画」の素案を見ると、これまでの重点的な教育計画は継続するとしている一方で、「つくば市の教育は『世界のあしたが見えるまち』を実現することを目的にし、全市民の資質向上を目指し行うものとする」という目的が掲げられ、「義務教育学校の新設はしない」「全国学力テストへの参加を止める」など、教育刷新の方向性を示している。今後の教育環境の変貌が注目されるところだ。

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