「つくば市」の人口が33年も増え続けている理由 未来科学都市の側面と交通アクセスの良さ

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地下にあるつくば駅を出て、総合インフォメーションセンターで市内の情報収集。観光、グルメなどのパンフレットが揃い、スタッフも常駐している。まち歩きマップを入手し、まずは「つくばエキスポセンター」に向かう。

つくばエキスポセンター(写真:筆者撮影)

つくばエキスポセンターは、1985年のつくば科学博の都心会場となった建物で、H-2ロケットが目に飛び込んでくる。

途中の中央公園入り口には「未来への道」があり、江崎玲於奈博士、朝永振一郎博士の銅像が出迎えてくれる。緑に包まれた園内を進むと太陽系の惑星をわかりやすく説明した石碑が太陽からの距離に応じた順に並んでいる。一帯には美術館や図書館もあり、散策しながら未来志向の科学のまちの一端に触れることができる。

モビリティロボットの実験地区にも

ここで、つくば市の歴史を振り返ってみよう。1963年の閣議了解を受けて筑波研究学園都市の建設が始まり、1973年には筑波大学が開学、1980年までに多くの研究・教育機関の移転が進み科学のまちとしての骨格ができあがった。

1985年のつくば科学万博では海外から約75万人が来場し、一躍世界に名前が広まる。1987年には大穂町、豊里町、谷田部町、桜村の3町1村が合併してつくば市が誕生した。その後1988年に筑波町、2002年に茎崎町を編入して現在の形となり、その3年後にTXが開業した。半世紀を超える時を経て整備された科学研究・未来都市なのである。

また、2011年には国から「つくばモビリティロボット実験特区」に認定された。モビリティロボットの公道実験などが行われ、人間とロボットが共生できる社会づくりに向けた取り組みが行われている。「つくば国際戦略総合特区」「SDGs未来都市」にも指定されるなど、全国でも有数の未来志向の強い自治体となっている。

同地にはさまざまな国の研究・教育機関が集積し、約2万人の研究者が活躍中。次世代がん治療の開発、ナノテクの最先端研究、藻類バイオマスエネルギー生産など革新的な研究テーマに取り組む科学研究・未来都市であるという点も人口増加に貢献している。

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