外出自粛で太った人は「代謝」を理解していない 食べた「糖質」がなぜ「脂肪」に変わるのか?

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このとき、インスリンはいろいろな方法を駆使して血糖値を下げています。

インスリンが出ると脂肪がたまる

1つには、インスリンは全身の細胞、とくに肝臓や筋肉に働きかけて血液中のブドウ糖を取り込むように促します。

取り込まれたブドウ糖は、エネルギー源として用いられますが、すべての血糖がすぐにエネルギーとして利用されるわけではありません。余った分は、今後必要になるときのために、「グリコーゲン」という形に変換され、肝臓や筋肉に貯蔵されます。肝臓でのグリコーゲンの合成を促すのも、インスリンです。

グリコーゲンは、「備蓄用のエネルギー」のようなものです。

血液中のブドウ糖が不足すると(血糖値が下がると)、肝臓は、備蓄していたグリコーゲンをブドウ糖に戻し、血液中に補給します。逆に血糖値が上がると、分泌されたインスリンが肝臓に働きかけて、グリコーゲンへの合成を促すとともに、グリコーゲンの分解を抑えるのです。

ただし、肝臓や筋肉にグリコーゲンとして備蓄しておく量には限りがあります。いつ使われるかもわからないものを大量に備蓄しておいても仕方ありませんよね。

エネルギーとしても利用されないし、備蓄用のグリコーゲンとしてもこれ以上ためておけない――。そうなると、余ったブドウ糖はどこへ行くのかというと、中性脂肪に作り替えられて筋肉や脂肪細胞の中に蓄えられていきます。このとき、中性脂肪の合成を促進するのも、インスリンの作用なのです。

こうしたことが起こるので、必要以上に――エネルギーとして消費する分とグリコーゲンとして備蓄する分以上に――糖質を摂ると、中性脂肪が増えて太るのです。

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糖質がいつの間にか脂肪に変わるカラクリ、わかっていただけたでしょうか。

朝に食べたおにぎりが1つであれば、エネルギーとして使われる分と釣り合いが取れるでしょう。あるいは、日ごろからよく体を動かしている人であれば、消費するエネルギーが多いので、おにぎりを少し多めに食べても釣り合いが取れるかもしれません。

しかし、大して体を動かす習慣のない人が朝から2つも3つもおにぎりを食べたら、どうでしょうか。食事で摂ったブドウ糖が余って、最終的には中性脂肪として脂肪細胞の中にたまってしまい、ポッコリお腹をつくっていくことになります。

この仕組みを理解して、体の中で起こる代謝の様子がイメージできるようになれば、食べるべき量も賢明に選択できるのではないでしょうか。

池谷 敏郎 医学博士/池谷医院院長

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いけたに としろう / Toshiro Iketani

1962年、東京都生まれ。医療法人社団池谷医院院長。東京医科大学医学部卒業後、同大学病院第二内科に入局。1997年、医療法人社団池谷医院理事長兼院長に就任。専門は内科、循環器科。現在も臨床現場に立つ。生活習慣病、血管・心臓などの循環器系のエキスパートとして、数々のテレビ出演、雑誌・新聞への寄稿、講演など多方面で活躍中。東京医科大学循環器内科客員講師、日本内科学会認定総合内科専門医、日本循環器学会循環器専門医。著書に『体内の「炎症」を抑えると、病気にならない!』(三笠書房)、『「血管を鍛える」と超健康になる!』『血管の名医が教える15歳若返る習慣』(ともに知的生きかた文庫)などがある。

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