トヨタ自動車は今期上方修正、来期黒字化にもメド、ただリコールで変動リスク抱える
トヨタ自動車の今2010年3月期は、売上高18兆5000億円(前期比9.9%減)、営業損益は200億円の赤字(前期は4610億円の赤字)となる見込みだ。前回予想よりも売上高5000億円の増額、営業損益は3300億円の赤字幅縮小。09年4~12月期(第3四半期)実績を踏まえて会社側が修正した。「東洋経済オンライン」も今期予想を修正値に合わせる。
第3四半期は、4~9月期(上期)までの世界的な自動車不況が響いて営業利益は525.5億円(前年同期比76%減)だったが、夏場以降の各国のエコカー支援策が実っており、上方修正につながった。
今期営業損益を3300億円修正した2大プラス要因は、「販売増」と「合理化」だ。連結販売台数は703万台から718万台へと15万台上積み。うち北米で8万台、国内で3万台増える見込み。この販売増で2700億円のプラス。また原価改善や固定費削減など、合理化で700億円のプラス。円高で100億円のマイナス要因となったが、それをプラス要因が大きく上回った。税負担の減少などが支え、最終損益では800億円の黒字(前期は4370億円の赤字)と、従来の赤字予想から転換した。
設備投資は6900億円と従来計画から700億円減らし、研究開発費も7600億円と従来比400億円削減した。配当は中間20円実施済みで、期末を会社側は「未定」としている。
注目されるリコール問題の影響はどうか。北米や欧州での1000万台超ものリコール(重複分を含む)は、修理に伴う直接の費用を製品保証引当金として1000億円、消費者離れによる販売減を営業利益で700億~800億円のマイナスと算定している。これは「今期計画に織り込んでいる」(伊地知隆彦専務)という。ブレーキの不具合が明らかになった新型「プリウス」の分は織り込んでいないが、台数が約30万台と小さいことから、すぐに大きな影響はないものと見られる。
来11年3月期はエコカー補助金等の効果が各国で徐々に切れることから、楽観視できないが、中国やインドなどでの市場拡大を見越し、基本的には増販基調を維持。800万台前後は達成できるとみられる。引き続き合理化努力も続ければ、営業黒字化は間違いない。ただし、リコールの影響が中長期的にどこまで続くのか、政治的な要因もはらんでおり、潜在的なリスクを抱えている。
「東洋経済オンライン」としては、来期は5000億円前後の営業黒字を確保できると予想する。今後、再取材およびリコール問題の動向次第で、予想数字を見直す可能性が十分ある。
《東洋経済・最新業績予想》 (百万円) 売 上 営業利益 経常利益 当期利益 ◎本2009.03 20,529,570 -461,011 -560,381 -436,937 ◎本2010.03予 18,500,000 -20,000 90,000 80,000 ◎本2011.03予 22,000,000 500,000 550,000 450,000 ◎中2009.09 8,377,643 -136,859 -62,975 -55,986 ◎中2010.09予 10,750,000 150,000 175,000 125,000 ----------------------------------------------------------- 1株益\ 1株配\ ◎本2009.03 -139.1 100 ◎本2010.03予 25.5 50-60 ◎本2011.03予 143.5 80-90 ◎中2009.09 -17.9 20 ◎中2010.09予 39.9 30-40
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