勝間和代「ネオライフハックで無理なく生きる」 今必要なのは、変化を味方につけるという視点

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さらに過密した所では、新鮮で栄養価が高い食材を入手する競争率が上がるので、最低限の栄養補給しかしにくくなる、という問題も生じます。 

多くの人がたくさんエネルギーを使ってCO2を排出し続け、働きすぎや貧困を強いられながら、最低限の栄養補給しかできない……。そんなおかしな現状にコロナは一石を投じて、過密した働き方や暮らし方を分散型や自律型に変えて、サステイナブルな方向に動かし始めているのです。 

こうした変化の中にいるときは、変化に逆らうのではなく、変化を味方につけることが肝要です。「奇貨(きか/利用すれば思わぬ利益を得られそうな事柄や機会)」という言葉がありますが、起きたことをすべて、よい方向に変えるきっかけとして捉えるわけです。

コロナ禍を奇貨にするのは難しそう、と思う人は、先が見えない不安が大きいせいでしょう。ウイルスの実態や感染状況、対応策などでも不透明なことが多く、今後、より悪いことが起きるのではないか、というネガティブな想像が膨らみがちです。

そういうときに変化に逆らうと、本当に悪いことが起きるのが世の常というもの。変化に適応するように心がけるのが賢明です。

「元」のあり方は、本当に戻りたい場所か

働き方も暮らし方も、コミュニケーションの取り方も、変化に逆らうのではなく、変化を味方につけるのが最大のポイントです。

自粛時期中のリモートワークを中心にした働き方や、不要不急のことをやめて必要最小限のことを行う暮らし方も、今とこれからのマッチしたネオ・ライフハック(人生を豊かにする新しい方法)の1つです。すでに、それらが定着している人は少なくないと思います。

満員電車や無駄に多くて長い会議から開放されたことで、自炊する時間が生まれ、子どもと遊ぶ時間もできたり、適度に運動する時間も確保できたわけです。そうしたスローライフ的なスタイルが今後定着すれば、間違いなく、私たちは人生の幸福度を上げることができます。

現に、20代を中心にした若い人たちはスローライフ寄りになっている印象を受けます。それを仕事第一主義が多い40、50代の人たちは、「夢がない」「覇気がない」などと揶揄しますが、若い人たちから見ると、年配者の働き方が奇妙に映っています。

今後は若い人たちのスタイルにより多くの価値が見いだされ、主流になっていくに違いありません。本当に、そんなふうに世の中が一変するのか?と疑いや恐れを抱いている人もいると思います。私の答えは、「変化する」です。 

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