「面白半分」では済まない鉄道妨害の大きな代償 単なる「いたずら」のつもりでも重大事案に発展

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茨城県の常総市役所への爆破予告メールを受け、近くを走る関東鉄道常総線が一時運転を見合わせる騒動があった(写真:みやたん/PIXTA)

軽犯罪法という法律があることを知っている人は多いだろう。いわゆる微罪を処罰する法律で、刑罰としては科料(刑法第17条・1000円以上1万円未満を支払わなければならない罰)や拘留(刑法第16条・1日以上30日未満拘束される罰)となっている。

同法第1条第31号では、「他人の業務に対して悪戯などでこれを妨害した者」は軽犯罪法違反に当たるとされている。

「悪戯」といえば、鉄道に対して妨害をすることを「いたずら」と表現されることがよくある。鉄道事業者の安全報告書を見ても、「いたずらと思われる置石」「いたずらと思われる特殊信号発光機の点灯」「いたずらによる輸送障害」など、「いたずら」という言葉が出てくることがある。

“いたずら”で済まされない

しかし、これらの行為は決して「いたずら」で片付けられるべきものではなく、微罪を処罰する軽犯罪法でとどまるようなものではない。典型的な行為を通じてその重大さを指摘したい。

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海外の鉄道と異なり、日本ではさすがに車両に落書きが大書されているケースはあまりないが、車両の隅や駅舎の壁、駅名標などに落書きがされているケースがある。

この場合には、まず器物損壊罪が該当する可能性がある(刑法第261条・3年以下の懲役または30万円以下の罰金または科料)。器物損壊というと物理的に物を壊した場合を思い浮かべると思うが、それだけではなく、物の効用や機能に支障を与えることも含む。

そのため、建物の窓ガラスいっぱいに張り紙をした行為が器物損壊とされた事件もある。列車や駅名標、時刻表などに落書きをして、それらの機能に支障を与えたりすると器物損壊罪に該当する可能性がある。

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