鉄道「ワンマン運転」、車掌がいらない法的根拠 列車防護の技術向上で規定も変化してきた

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ワンマン運転が検討されていると報じられたJR京浜東北線(写真:tarousite/PIXTA)

6月27日、JR東日本が京浜東北線でのワンマン運転の検討を始めた、と共同通信が報じた。各駅へのホームドア整備で安全を確保、「2024年度をめどに車両側面のカメラで乗り降りを確認できる機能を備えた新型車両を投入する」という。

私が少年のころの1970~1980年代、列車のワンマン運転は路面電車を除けば例外だった。当時の国鉄の旅客列車にはなく、私鉄でも関東鉄道竜ヶ崎線、日立電鉄や静岡鉄道静岡清水線くらいでしか行われていなかったように記憶している。貨物列車も当時は車掌車が連結され車掌が乗務していた。

一般的になったワンマン運転

しかし、その後1980年代半ばには貨物列車の車掌車連結がなくなり、旅客列車でもワンマン化が急速に普及した。今やJR・私鉄を問わず、全国でむしろ当然に行われるようになってきている。

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ワンマン運転は1つの列車に運転士のみが乗務し、車掌の乗務がない運転形態である。行うにあたっては鉄道事業者に無制限の裁量が与えられているわけではなく、法令上のルールが存在する。

運転士は「列車の運転の業務に従事」し、車掌は「列車の運転取扱い、旅客及び荷物の輸送並びに車内の秩序保持の業務に従事」する(鉄道係員職制第9条、第11条)。

車掌の業務の中には、列車防護という重要な役割も含まれる。旧鉄道運転規則第70条(2002年廃止)には「列車の停止を要する障害が発生した場合において、進行してくる列車を停止させるために、列車の制動距離を考慮して停止信号又は車内停止信号を現示すること」とあった。

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