鉄道「ワンマン運転」、車掌がいらない法的根拠 列車防護の技術向上で規定も変化してきた

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現在はこれらの規則に代わる「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」(鉄道営業法第1条を根拠とする国土交通省令、以下「省令」という)があり、第106条に「列車の停止を必要とする障害が発生した場合は、列車の非常制動距離を考慮し、停止信号の現示その他の進行してくる列車を速やかに停止させるための措置を講じなければならない」と定められている。

車掌が乗務しないということは、車内サービス、車内秩序維持のほか、列車防護を第1次的に担う者が乗務していないということである。かつての鉄道運転規則などでは、列車には運転士と列車防護にあたる係員(車掌)が乗務をすることが前提とされ(同規則72条本文)、例外的に列車防護にあたる係員を乗務させないことが許される場合の規定を定めていた。

同規則72条で除外されていたのは、①救援列車②除雪列車③動力車を操縦する者が2人以上乗務している動力車のみの列車(単行・単機運転の列車)④線区の状況、列車の運行状況、列車の組成等により、列車防護要員が乗務しなくても支障がない列車――である。なお旧普通鉄道構造規則の第214条~第217条は、ワンマン運転のための車両の構造や装置を定めていた。

ワンマン運転車両の条件

現在の省令では、列車防護係員原則乗務のような規定はなくなったものの、第6節として「動力車を操縦する係員が単独で乗務する列車等の車両設備」という節を設け、ワンマン運転をするに満たさなければならない条件を定めている(省令第86条第1項)。ここでは、車両についての基本的な条件を満たすことは当然のこととして、

① 地下式構造の区間その他の非常時に旅客の迅速な避難が困難な区間を走行する旅客車にあっては、第79条第3項の装置(筆者注:運転士異常時列車停止装置、いわゆる「デッドマン装置」)が作動したことを自動的に駅又は運転指令所に通報することができる装置の設置その他の非常時に旅客の安全を確保するための措置を講じたものであること。
② 動力車を操縦する係員が保安上必要な場合には、駅又は運転指令所と定位置で支障なく連絡することができること。
③ 運転士が定位置で容易に旅客用乗降口の扉の操作及び旅客への放送をすることができること。

の基準を満たせばワンマン運転が可能とされている。

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