プライスレス W・パウンドストーン著 松浦俊輔他訳
合理的につけられているかに見える「物の値段」。実は「人の心理」でかなり決まることが、ゲーム理論、最後通牒ゲーム、行動経済学などのツールや考え方を活用しつつ、これでもかこれでもかと例証される。タイトルは文字どおり「値段なし」。英語原義の「値段で表せないほど大切」の意味ではない。
確かにギャンブルや各種投資、裁判、さらには芸術の世界では、さもありなんと思わせるが、飲食、アパレルから、ITや不動産などの業界に至るまで豊富な事例を示されると、「値段はあやふやで偶然に左右され、びっくりハウスの鏡に映る像のように移ろいやすい」現実を、いやでも確信するようになってしまう。
同時に、人が「納得」して買う商品が必ずしも安いとは限らないことも確かなようだ。昨日の買い物は、販売員の「カモ」になったのではないかと自戒させられ、価格戦略は「ふっかけた者勝ち」なのかもしれないとつくづく思わされる。
青土社 2520円
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