福田さんは50~100種前後のエッセンスがブレンドされたオリジナル香料を複数組み合わせて1本1本調香しているが、それを10mlで3000円(税抜)、30mlで5000円(税抜)と手の届きやすい価格で販売している。その手軽さも人気の理由だろう。
それにしても、どれだけ自分のイメージに近い香りができるのだろうか。試しに筆者も体験してみた。
まずは質問項目に回答。質問は、好きな色・果物・季節・音楽・ファッション・靴・映画・香水、現在のヘアスタイル、希望の香りのイメージなどを記述する項目が並んでいる。さらにオンラインで面談し、雑談がてらこちらの好みを伝えていく。ちなみに筆者の場合のイメージは、「幼い頃に家族と見た花畑」だ。
そうして出来上がってきた香りだが、確かに筆者のイメージするような香りに仕上がっていてビックリした。
驚いたのは、こちらの好みがうまく伝えられたか、自信がなかったからだ。質問項目に対しては細かく記述しすぎてしまい伝えたい点がぼやけてしまったと思うし、オンライン対面でも前職や好きな芸術家の話など雑談がメインとなり、希望をはっきり伝えきれなかった。
にもかかわらず、好みのフローラル系で構成され、花々に囲まれた幸せの記憶に合った香りが届いたのだ。ネット上の体験談でも福田さんの調香に信頼を寄せる感想を目にするが、この「イメージを立体化してもらえる喜び」にハマる人も多いのかもしれない。
実際、最近は物語のワンシーンなど細かい設定での再現や、自身が創作したキャラの香りを求める人も増えているという。「自分がイメージする世界観を表現したいというニーズを強く感じる」と福田さんは語る。
アルゴリズムで「オーダー香水」
もうひとつ、調香師個人のセンスで顧客を魅了するDanceとは違った切り口で話題となっている、インターネットを通じた香りのオーダーメイドサービスがある。調香の過程にITを活用し、主に20~30代女性に支持されるヤマネコの「リベルタ パフューム」だ。
20の質問に答えると、これまで同社が蓄積してきた膨大な診断データをもとに、独自のアルゴリズムが最適な香りを判別。「好みの香り」と「自分に似合う香り」を両立した「自分だけの香り」ができあがってくるという。
同社を立ち上げた社長の山根大輝さんは、香り好きが高じて人気調香士の元で修業し、起業したという人物だ。「海外の某高級ブランドのオーダーメイド香水は500万円。これを5000円にして香りを作る楽しさを広めたい」と考える中、調香をアルゴリズムで自動化する発想にたどり着いた。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら