過熱する銅争奪戦、日本勢も巨費を投入

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 銅が息を吹き返した。昨年12月のLME(ロンドン金属取引所)価格は1トン7000ドルを突破。リーマンショック後の2008年末には3000ドルを割り込んでいたが、わずか1年で回復した。

牽引役は中国。景気対策でインフラ投資を拡大しており、送電線などの需要増に加えて積極的な国家備蓄を実施している。さらに投機マネーの流入や、年末に銅山でストライキが相次いだことで需給逼迫懸念が高まり、一段と価格を押し上げた。

「在庫は増えているが、中国は電力に加えて自動車の伸びもある。需要は底堅い」(大和総研の山田雪乃シニアストラテジスト)。価格下落に転じても、7000ドルを割れば再び上昇するとの見方が大勢だ。

中国では銅の大半を輸入に頼る。「輸入量は00年の190万トンから08年には510万トンまで急増した。製錬所の建設も相次いでいる」と、JOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)企画調査部担当の神谷夏実審議役は指摘する。引き続き需要増加が見込まれる。

このため年末年始に行われた製錬会社との価格交渉では、鉱山会社の強気姿勢が目立った。銅生産大手の米フリーポート・マクモランや資源メジャーのBHPビリトン社らとの交渉では、製錬側の取り分となるTC(溶錬費)、RC(製錬費)といった加工賃が、前年比4割近くも引き下げられた。

さらに資源大手の間では、M&Aの嵐が吹き荒れる。フリーポートは米鉱山会社フェルプス・ドッジを買収して最大手に浮上。昨年7月にはCIC(中国投資有限公司)が資源大手テック・リソーシズ(カナダ)へ資本参加した。資源メジャーの英豪リオ・ティントも、一度は消えたBHPビリトンとの合併話が再浮上している。寡占化が進んだことで銅の場合、05年に3割だった上位5強シェアは現在4割を超える。

川上の力が強まれば、製錬側は不利になる。銅鉱石の安定的な買い入れに向けて、日本企業も海外の権益確保へと動き出した。

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