過熱する銅争奪戦、日本勢も巨費を投入

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外部調達を大転換 自社鉱山へ積極投資

先行するのが住友金属鉱山。非鉄メジャー入りに向け、金、銅、ニッケルで海外権益を積極的に取得している。銅は現在、ペルー3地区、チリ3地区など複数箇所で探鉱中だ。

「非鉄金属業界で生き残るには上流に行かなければダメ。買鉱条件は厳しさを増しており、今、儲けられるのは鉱山」(住友金属鉱山の阿部一郎専務)。4~5年前からは、ほとんどを自社探鉱に切り替えて効率化を進める。地質条件がよく、銅が出るとわかれば事業化調査(FS)に入る予定だ。

一方、日鉱金属と三井金属の合弁会社パンパシフィック・カッパー(PPC)。これまで全量を外部調達に頼り、銅の製錬に特化してきた。しかし、ついに自社権益を持つ。しかも100%出資の鉱山が二つだ。

06年に取得したチリのカセロネス鉱山は、総額1800億円を投じて2013年に操業開始予定。過去にさまざまな会社が探鉱したが、狙った金が出ない、小規模といった理由で手放していた。だが130億円で権益取得しボーリング調査を行った結果、生産量が倍以上になることが判明。銅の年産15万トンを見込む。

そして昨年11月には、ペルーのケチュア鉱山でのFS入りも発表。三井金属の古い権益だが、14年の操業に向けて始動する。総投資額900億円で年産6万トンを計画する。

「権益を押さえれば、買鉱条件が悪化しても川上でカバーできる。選択の幅が広がる利点は大きい」(PPCの後藤敬一常務)。外部調達のときも、好条件で交渉できるという。

とはいえメリットばかりではない。PPCの場合、探鉱は「ジュニア」と呼ばれる中小探鉱会社に委託するが、開発となればアクセス道路を整備する必要がある。さらに1台5億円の320トントラックを数十台単位で購入し、
鉱石を砕く機械も100億円は下らない。鉱山開発には巨費と時間が必要だが、その間に市況価格が乱高下するようだと、当初の見通しに狂いが生じる可能性もある。

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