過熱する銅争奪戦、日本勢も巨費を投入

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鉱山経営の関門は地元住民との協調

2社と比べて低コストで開発中なのが三菱マテリアル。休山中だったカナダのシミルコ鉱山は、銅価上昇で低品位でも採算が取れるようになった。23億円で同鉱山株25%を取得し、来年の操業開始に向けて再開発が動いている。

「シミルコは銅価格が2000ドルを割り込んだ際に休山した。中規模の割に金額がリーズナブルで投資しやすい案件だった」(三菱マテリアル海外鉱山プロジェクトの高柳喜弘部長)。過去の操業許可が使えたこともあり、年15万トンの銅を産出する鉱山ながら起業費は368億円。産出した銅鉱石は全量引き取る方針だ。国内の製錬所では年間100万トンの銅鉱石が必要だが、今回の出資で資本参加先からの銅調達比率は7割に達する。

引き続き日本勢は権益獲得に意欲的だが、鉱山経営にはハードルも多い。悩ましいのは、地元住民との交渉や遺跡が出る場合だ。たとえばフリーポートらが保有するインドネシアのグラスバーグ鉱山。金と銅の産出量で世界有数だが、人権侵害や環境破壊でNGOなど民間団体の批判が繰り返されてきた。万一、操業停止ともなれば投資損失は大きい。

しかし、そうした難関以上に川上を持たざるリスクは膨らんでいる。三菱マテリアルの高柳氏は「最近は、大きな鉱山を資源メジャーが全部押さえて権益を出そうとしない」と危惧する。すでに中国は権益のみならず、鉱山会社の買収も含めて積極的に動いている。中長期ではインドなどの新興国需要も期待され、争奪戦は激化する一方だ。


(山内哲夫 =週刊東洋経済)
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