国民民主・玉木代表はなぜ分党にこだわるのか 突然の新党不参加表明はカネと組織が狙いか

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玉木氏は「あのまま議決すれば否決されて交渉決裂だ。せっかく平野氏と泉氏が積み上げてきた1つの成果は生かすべきだし、この条件で合流したい議員も多くいる」として、分党は推進派と反対派の双方に配慮した次善の策だったことを明らかにした。同時に、泉氏が「役員会で分党方針は了承されていない」と記者団に述べたことについても「(了承)されている。分党の方法ややり方が、必ずしも明確になっていないという趣旨で発言したということだった」と説明した。

玉木氏の分党宣言について、合流推進派からは「結果的に収まるべきところに収まることになるかも」(無所属有力議員)と容認する見方もある。国民民主の保守系議員の間では「強引に合流するなら離党して無所属になる」との声も多く、分党となれば「円満離婚になる」(同)というわけだ。

決め手は「どちらが選挙に有利か」

ただ、次期衆院選での生き残りをにかける国民民主の各議員にとって、「(新党と分党の)どちらが選挙に有利かが決め手」(若手議員)になる。前回の厳しい選挙を小選挙区で勝ち抜いた議員は残留も選択肢となるが、所属議員の半数を超える比例復活組にとっては、「政党支持率の高い立憲民主を引き継ぐ合流新党から出馬するほうが有利」(同)と判断する向きが多い。

公選法上、比例復活組が選挙を経ずに別の既存政党に移ることはできない。だからこそ、今回の合流協議では、立憲、国民両党をそれぞれ解党して形式上は新党結成とすることで、比例復活組の受け入れを可能にしたのだ。これは、支持率の低迷が際立つ国民民主を、高い支持率を維持する立憲が事実上吸収合併するための戦略でもあった。

枝野氏が当初から新党名を立憲民主と明言していたのも、そうした戦略を裏付けるものだった。ただ、それが「党名の押しつけ」「上から目線」などという反発を生み、協議の難航につながっていた。

憲法論議への対応の違いなどを理由に立憲を離党して国民民主に入党した山尾志桜里衆院議員がすぐさま合流新党不参加を明言したのも、「枝野氏の傲慢さへの反発」(国民民主幹部)からとみられている。また、2017年の民進党分裂を主導した前原誠司元民進党代表は、日本維新の会との連携を模索するとされ、有力議員の対応もバラバラだ。

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