「三菱ふそう」がBEVとFCVの2軸で勝負する訳 2039年までにCO2ニュートラルは実現できるか

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さらに続けて、「eCanter F-Cellは、三菱ふそうにとって初めてのプロトタイプですが、この具現化により、三菱ふそう社内でトラックに燃料電池を組み込む礎ができました。またダイムラーグループは、燃料電池技術において長年の経験と知見を持っており、三菱ふそうには、これらを活用できるメリットがあります。初期の段階ではコストが大きなチャレンジとなりますので、一定台数を生産し、コストを下げるまでは、政府からの助成金が必要と考えます」と話す。

このように三菱ふそうには、「政府の支援なくして燃料電池小型トラックの普及は難しい」という考えがあることがわかった。

しかしながら、押し寄せる電動化の波は乗用車の世界だけにとどまらない。この先は、商用車にも等しく訪れる。電動化の三種の神器とされる「モーター」「バッテリー」「インバーター」はいずれも量産効果を持ち、それにより技術的な昇華が見込めるからだ。加えて、量産効果は燃料電池の源であるFCスタックにしても同じである。

2039年までにCO2ニュートラルを目指す

一方、三菱ふそう(ダイムラートラックAG)のICE/内燃機関を搭載した既存の販売車両に対する電動化についてどう考えているか、ダイムラートラックAGに訊いた。

「ダイムラーでは現在、ICEを用いたハイブリッド技術は2039年までの移行期間のオプションとして見ています。可能性に関する最終評価はまだ保留中です。ハイブリッド技術はCO2ニュートラルではないため、われわれのターゲットには含まれていません」

なるほど、現時点でICE車両をハイブリッド化して2040年以降も延命する考えはないと言う。

車両のCO2ニュートラルを2039年までに実現するとしている(写真:三菱ふそう)

そのうえで、ダイムラーAGが掲げるCO2ニュートラルについて質問すると、次のような答えが返ってきた。

「2019年に、ダイムラーとして2050年までにCO2ニュートラル輸送を実現することが、私たちの最終目標であることを発表しました。ここで掲げた、2050年までにすべての車種をリニューアルするプランの実行には約10年かかる見込みです。まずは2039年までに、主要地域である欧州、日本、北米において『Tank To Wheel (TTW)』の走行時CO2ニュートラル車両のみを提供する、これが目標です」

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