ホンダによると、2020年のアメリカの全体需要は前年比20%減の1400万台程度である一方で、リテール(個人向け)に限れば10%程度の減少となる見込み。リテールに比べて、レンタカーなどのフリート(法人向け)需要の回復が遅れるとの分析だ。
ホンダは販売台数に占めるフリートの比率が一ケタ台とみられ、10%台後半の日産自動車などと比べても低い。コロナ禍で販売が激減する中でも、フリート比率の低さが傷を浅くしてくれる。
急がれる4輪の構造改革
とはいえ、4輪の収益性の低さがホンダのアキレス腱であることには変わりはない。ホンダは2010年代以降、世界販売600万台を目指して生産能力を拡大したほか、各地域の専用モデルを増やすなどして固定費が膨れ上がった後遺症が今なお残る。2020年4~6月期のホンダの4輪の販売台数は40%減少し、同事業だけで1958億円の営業赤字を計上した。
ホンダは4輪の収益改善に向けて次々と手を打っている。イギリスやトルコ、狭山(埼玉県)などの工場閉鎖で過剰な生産能力を削減するほか、グローバル車種の派生モデルを2025年までに3分の1に削減する方針だ。
さらに、今年4月には子会社の本田技術研究所が持っていた4輪の開発機能の一部を本社と統合した。こうした施策で2025年までに生産費用を1割、開発費用を3割削減する計画だ。
ホンダの2020年度の研究開発費は、過去最高の8600億円に上る予定で、利益が激減する中でも自動運転や電気自動車など次世代技術への投資を加速させる意思を内外に示した。IT大手を巻き込んだ競争がさらに激化していくことは必至で、中期的に開発費用を捻出することが必要だ。そのためにも構造改革を早期に進めて、4輪事業で稼げる体質を構築することが求められる。
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