ホンダ「黒字確保」に貢献する2輪事業の底力 コロナ禍で4輪との「収益格差」が鮮明に

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加えて、意外な健闘ぶりが見込まれるのが4輪販売だ。ホンダは2020年度の4輪販売台数が450万台になりそうだと発表した。調査機関などの予測によると今年度の世界の全体需要は前年度比で2割以上落ち込むとみられている中で、6%程度の減少幅にとどまる見通しだ。

その見通しを支えるのが、販売が急回復している中国の存在だ。世界で最も早く新型コロナの感染が拡大した1~3月期は、ホンダも販売台数が前年同期比34%減と大きく落ち込んだが、4~6月期には同5%減まで回復した。

中国では、電気自動車(EV)などへの補助金継続や都市部でのナンバープレート発給規制の緩和など、政府による消費刺激策が効果を上げている。とくに日系ブランドは中古車価格の高さなどから人気が高く、欧米系や地場系と比べても回復のスピードが早い。

ホンダも主力セダン「シビック」の好調などで、7月の販売台数が前年同月比18%増と6カ月ぶりに前年実績を上回った。あるホンダ系部品メーカー幹部は「ホンダはかなり強気の生産計画を出してきている。今の勢いが続けば2~3月の生産停止分をカバーして、通年では前年度を上回るレベルにまで回復しそうだ」と話す。

アメリカも回復傾向

もう1つの主力市場であるアメリカも底入れしつつある。新型コロナによる外出制限や販売店の閉鎖などで4月の販売台数は前年同月比54%減と壊滅的な数字を残したが、7月は同11%減とマイナス幅は縮小。経済活動の本格再開によって徐々に影響は和らぎつつある。ホンダの4輪販売は中国とアメリカだけで全体の6割超(2019年度)を占めており、この世界の2大市場の回復の恩恵を受けやすい。

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