PTAの「人やお金の動かし方」に猜疑心が募る訳 アゴ足つきの宴会、保険PR、割り当ては適切か

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「自然の教室」が中止になったことで余った米の消費を依頼する文書

行政区ごとのPTA連合会が取りまとめて集約することになっていたが、回答は「2箱(8袋)を引き受けます」「3箱(12袋)を引き受けます」「その他」から選ぶ様式で、最初から2箱か3箱を「割り当て」しているように見える。

各PTAに「割り当て」をしているような内容に、さいたま市PTA協議会や各区のPTA連合会には各PTAから問い合わせや苦情が寄せられたという。岡野会長は7月30日付で「南会津産お米の購入に関わる訂正について」とする文書を出し、所長から「各校PTA会長様はじめ多くの保護者様に混乱やご迷惑をおかけしましたと、謝罪と訂正がございました」と伝えて、「米の購入について、強制するものではございません」と、「割り当て」を事実上撤回した。

教育委員会や行政の言うなりに

こうした動きに、複数のPTA会長から「行事や会議への動員と同じで、教育委員会や行政の言うなりに動いて、われわれには上から命じる姿勢に疑問を感じる」という声がでている。結局、30校近いPTAが買い取りに応じなかったが、4箱以上を買うPTAも30校以上あったという。

PTAを担当する市教委生涯学習振興課は「行政としても、なんでもかんでもPTAにお願いするのはよくない。会議への出席依頼を含め、PTAとの関係を見直したい」と話している。

さいたま市PTA協議会が今年1月に発行した「ガイドブック」には、「PTAは『子どもたちの学ぶ環境をよくしていきたい』という保護者と先生方の自発的な気持ちから成り立っています」と書かれている。「動員」や「役員の強制」などとは無縁のはずだが、現実には多くの不満の声がある。戦後にPTAができて70年以上が過ぎた。学校現場をよくするという視点から、組織のあり方や資金の集め方を含めて抜本的な見直しをするときだろう。

松浦 新 朝日新聞記者

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まつうら しん / Shin Matsuura

1962年愛知県生まれ。東北大学卒業後、NHKに入局。1989年朝日新聞入社。東京本社経済部、週刊朝日編集部、特別報道部、経済部などを経て、2017年4月からさいたま総局。共著に『ルポ 税金地獄』『ルポ 老人地獄』(ともに文春新書)、『電気料金はなぜ上がるのか』(岩波新書)、『プロメテウスの罠』(学研パブリッシング)ほか。

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