PTAの「人やお金の動かし方」に猜疑心が募る訳 アゴ足つきの宴会、保険PR、割り当ては適切か

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こうした保険事業のあり方を批判してさいたま市PTA協議会を退会した小学校PTAがある。さいたま市立浦和別所小学校のPTA(澤口博会長)は今年5月、書面で開いた総会で保護者と教職員874人が投票し、会長委任を含めた91%の賛成でさいたま市PTA協議会からの退会を決議した。

澤口会長は「保険はPTAの本来の目的とは関係ないし、特定の保険会社の商品を扱う理由もわからない。事務局員の給料、通勤手当、備品費、消耗品費などの4割を保険口座から出すが、実際に保険のために何をしているのかがわからない。PTAをビジネスに利用するべきではない」と批判する。

多くのPTA関係者が批判する「動員」

澤口会長が批判するのはこうした資金の流れだけではない。多くのPTA関係者が批判する「動員」もなくすべきだと指摘する。2007年度に埼玉県戸田市の中学校でPTA会長を務めた板垣友子さんは「自治体や教育委員会からも、保護者も参加したという実績作りのためか、さまざまな会議や講演会に各校何人という形で出席の要請がある。予算消化のためのようなものもあり、PTA会長会でやめるよう求めたが聞いてくれなかった」と話す。

今年は新型コロナウイルスの影響で多くの人が集まる会合がほとんどないが、7月末には関係者が「米騒動」と呼ぶ、教育委員会とPTAの関係を象徴するような「騒動」が起きた。

福島県南会津町にある「さいたま市立舘岩少年自然の家」では、さいたま市内の小中学生が夏と冬に「自然の教室」を開いてきた。ところが、新型コロナの影響で夏の教室が中止になり、米を確保していた業者が自然の家の所長に相談した。

所長からその話を聞いたさいたま市PTA協議会の岡野会長は、7月27日付で傘下のPTAに「支援のお願い」を送った。5キロ入り1袋を自然の家からの送料を含め、1915円で買ってほしいというものだったが、「各校PTA様に2箱(8袋)ずつ引き受けていただきたい」「可能なPTA様には3箱(12袋)を引き受けていただくと助かる」という内容を、所長からの依頼として書いて送ったのだ。

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