新型コロナ、「2週間後」予測はなぜハズレるのか

高橋泰教授「データに合う新型コロナ観を持て」

――人によって見えている新型コロナの性格が違う。そのことを上のような図にしてみました。簡単に説明してください。

私の新型コロナ観をAとしましょう。新型コロナは、毒性は弱いが、暴露力は非常に強い。その結果、これまで国民の3分の1から半数がすでに新型コロナに暴露しているが、そのうち98%程度は、自然免疫などの働きにより自覚がないまま無症状か軽い風邪のような症状で治っている。ひどい風邪症状などになるのは暴露者の2%程度で、この人たちの一部は肺炎になる。さらに、このうちのごく一部はサイトカイン・ストームを起こして重症化するが、0.001%以下だ。

一方、多くの国民やマスコミが現在抱いている新型コロナ観をBとする。これは、新型コロナは恐怖のウイルスであり、非常に毒性は強く、かかると重篤化して死亡する可能性が高い。感染することはまれで、これまで非常に限られた人しか感染していない。だからかかると大変なことになる。

しかし、そのような病気でないことはすでにわかってきている。

コロナ観Aのほうが実態に合っている

――GoToキャンペーンの影響をコロナ観Aとコロナ観Bで予測するとどのような違いが出ますか。

コロナ観Aに基づく私の「感染7段階モデル」の予想では、GoToキャンペーン前に国民の3分の1の4000万人がすでに暴露し、このうちの400万~800万人は、仮にその人が暴露した翌日にPCR検査を行えば陽性になっていると考えていた。

さらに、GoToの影響を7段階モデルに当てはめ、以下のように予測していた。

地方を中心に最高2000万人程度が新たに暴露、その中の100万~200万人がPCRを行なえば陽性になる。ただしそのほとんどが無症状か軽症だ。一方、暴露者の2%相当の40万~80万人程度が長期の発熱や倦怠感などのはっきりした症状が出て、その中の一部が医療機関を受診し、PCR検査を実際に受けて陽性となる。また、PCR陽性者の周辺の無症状感染者も濃厚接触者としてPCR検査を受けることになり、大量のPCR陽性者が発見されるが、これも氷山の一角だ。また2000万人の中から600人の重症者が現れ、最大で200人が亡くなる可能性がある。

一方、コロナ観Bの人の立場で予測すると、PCR陽性者は感染者であって、これまでの感染者2万人がGoToによって急増する。このキャンペーンで感染者が地方に拡大し、そのうちの数%の数十万人レベルが重症化、数万人レベルの死亡者が出る、という予想になる。

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