日本がグーグルやアマゾンを生み出せない真因 製造業に適した人材ばかりを求めていいのか
大学への進学率が低い、大学に入っても勉強しない、大学院生を大事にしない、社会人になったら勉強する時間がない。こうした日本の働き方や社会の仕組みが、日本を低学歴社会化しているのです。
この仕組みは製造業の工場モデルにはぴったりでした。製造業で働く人に求められる特性は素直で我慢強く、協調性があって空気が読めて、上司のいうことをよく聞く人です。日本は製造業に過剰適応した社会といえます。
ではGAFAやユニコーンはどうなっているかというと、創業者はアメリカ人と留学生など、異なる国籍の組み合わせが非常に多い。グーグルは、1995年にアメリカ人のラリー・ペイジがスタンフォード大学院への進学を考えていたとき、ソ連出身で子供の頃に家族で米国に移住したサーゲイ・ブリンにキャンパスを案内してもらったことがその歴史の始まりでした。この2人が1998年にグーグルを立ち上げます。
つまり、ダイバーシティがあり、かつ高学歴な人たちの組み合わせです。学歴の内容もダブルドクターやダブルマスターが多く、しかも数学と音楽や、物理学と歴史学というように、文理の別を超えて好きなことを極めている人が目立ちます。こういう人たちを僕は「変態もしくはオタク」と呼んでいます。
こういう変態もしくはオタクの人たちがワイワイガヤガヤ議論していくなかで新しいアイデアが生まれ、それが実行に移されてユニコーンが誕生するのです。あるいはアップルの創業者スティーブ・ジョブズのように大学を中退してヒッピーだったような、強烈な個性を持った人がGAFAをつくっているのです。
「飯・風呂・寝る」の生活から「人・本・旅」へ
これに対して日本の企業社会では、素直で我慢強く協調性があって空気が読めて上司のいうことをよく聞く人を喜んで採用しています。こうした社員を5人集めて「面白いアイデアを出せ」といって、面白いアイデアが出るでしょうか。出るわけがありません。
もはやグローバルな企業間競争は、競技のルールもしくは競技そのものが変わったのです。それなのに、いまだに素直で我慢強く協調性があって空気が読めて上司のいうことをよく聞く人を採用し続けているのは、野球からサッカーにゲームが変わったのに毎晩バットを持って素振りを続けているようなもの。本人たちは一所懸命努力をしているつもりかもしれませんが、それではゲームに勝てるはずがありません。
働き方改革を行い、早く職場を出て、いろいろなことを学ぶのが望ましいのです。私は、たくさんの人に会い、たくさん本を読み、いろいろなところに出かけていって刺激を受ける、つまり、「飯・風呂・寝る」の低学歴社会から「人・本・旅」の高学歴社会へと切り替えなければならないと思っています。
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