「最安値でトクする」があまりに難しくなった訳 リセールも普及してますます複雑に

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一般消費者が参加するネットオークションならどうか。趣味のものを売買している利用者に聞いたところ、最初は安い値段で始まったとしても、不思議と妥当な落札価格に落ち着くそうだ。今はネットで簡単に価格が調べられるのもあり、出品者も入札者もそれをよく承知している。「ネットで掘り出し物が見つかった」というのも、今後はより難しくなっていきそうだ。

「よい安さとは、理由が納得できる安さである」とは、ある流通の専門家に聞いた言葉だ。相場に比べてなぜ安いのか?と売り手に質問して、その理由が腑に落ちるなら買ってもいい。さらに言えば、それが資産価値を大きく損なわない要因だとすれば、それは”掘り出し物”と言えるのだろう。

日常品でも高いものをあえて買う人たちの理屈

コロナ禍で収入が減ったという声は多く、世の中は節約モードだ。しかし、高級品や不動産でもない日常利用する品物でも、あえて高く買う人々がいる。

フリマアプリ「メルカリ」が今年6月に出したレポートによると、「フリマアプリ出品経験者は、新品ジーンズの購入を検討する際、フリマアプリで高く・早く売れる商品ならば、安価な新品より高価な新品を選好する傾向」「フリマアプリ出品経験者は、新品タブレット端末の購入を検討する際、フリマアプリで高く売れる商品ならば、安価な新品より高価な新品を選好する傾向」があるという。

例えば、ジーンズの場合。新品の販売価格5000円と1万円の商品があったとすると、単純に節約を考えれば安い5000円を選ぶだろう。しかし、フリマアプリ利用者の場合、5000円のジーンズがその後1500円で売却ができ、1万円のジーンズは5000円で売却が可能だと想定できれば、より高額な1万円のほうを買う。前者は払った金額の30%(1500円)を取り戻したことになるが、後者なら価格の半額にあたる5000円を手にできる。フリマアプリ内の売れ筋や、売却までの日数が早いかということもポイントだ。

同様に、新品で1万円と3万円のタブレット端末があった場合、その後4000円で売却できる前者より、1万8000円で売れる後者を購入する。売却前提で物を買うとするなら、より高い=価値や人気が高いものを買うほうが、手にできる売上金も多くなり節約面でもクレバーな選択といえるわけだ。

節約のためには1円でも安いものを買うべしという常識は、もはや令和では通用しないのか。安く買って一時の出費を抑えることより、高いけれど売れるものを選んでうまくリセールするほうが、これからの勝ち組になるのだろうか。

「所有から使用へ」の移行は、コロナで加速度を増した。家具や家電はライフスタイルに合わせて時限的に借りてもよく、所有するなら一定以上の価値がある高額品を買う。それも一つの家計防衛スタイルといっていいだろう。

松崎 のり子 消費経済ジャーナリスト

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まつざき のりこ / Noriko Matsuzaki

20年以上にわたり『レタスクラブ』『レタスクラブお金の本』『マネープラス』などのマネー記事を取材・編集。家電は買ったことがなく(すべて誕生日にプレゼントしてもらう)、食卓はつねに白いものメイン(モヤシ、ちくわなど)。「貯めるのが好きなわけではない、使うのが嫌いなだけ」というモットーも手伝い、5年間で1000万円の貯蓄をラクラク達成。「節約愛好家 激★やす子」のペンネームで節約アイデアも研究・紹介している。著書に『お金の常識が変わる 貯まる技術』(総合法令出版)、『「3足1000円」の靴下を買う人は一生お金が貯まらない』(講談社)、『定年後でもちゃっかり増えるお金術』(講談社)。
【消費経済リサーチルーム】

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