ユーロは再び第2の基軸通貨と期待されるのか 欧州復興基金で「安全資産」としての価値が増す

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だが、第3の「各国政府の外貨準備通貨として保有されること」についてはユーロの伸びが期待される余地もある。結論から言えば、復興基金誕生を契機として、ユーロ建ての安全資産市場が新しく生まれることになれば、外貨準備運用を担うリザーブプレーヤーにとって重要なターニングポイントになる可能性がある。

歴史を簡単に振り返っておこう。ユーロが第2の基軸通貨と持てはやされ、相場も騰勢を強めていた2000~2009年の約10年間で世界の外貨準備に占めるユーロ比率は約18%から約28%へ、10%ポイントも上昇した。この間、ドル比率は約72%から約62%へ10%ポイント低下している。

10年間で10%ポイントのリザーブマネーがドルからユーロへシフトしたのは事実であり、「第2の基軸通貨はユーロ」という議論が熱を帯びたのは根拠のない話ではなかった。だが、欧州債務危機を経て、ユーロ圏の瓦解・崩壊をはやし立てる論調が勢いづく中でユーロ比率は19.1%(2016年6月末)まで低下し、足元でも20%程度にとどまる。「第2の基軸通貨ユーロ」に対する期待は完全に剥落していた。

外貨準備における再度のシェア拡大に期待

しかし、ユーロがドルを凌ぐ通貨になることは考えられないにせよ、この剥落した10%ポイント分のリザーブマネーがまたユーロに戻ってくる余地くらいは期待してもよいのではないか。

2021年以降に稼働する復興基金の原資7500億ユーロの大部分は欧州委員会がEU債として調達することになっている。この際の年限や金利、格付けなどはまだ明らかになっていないが、過去に欧州金融安定ファシリティ(EFSF)や欧州安定メカニズム(ESM)が発行した債券の例を見れば、最高格付けとなるはずだ。この点、「ユーロ建ての安全資産の市場が誕生する」という期待は当然で、リザーブマネーを引き付ける一因になりうる。

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