大半の人が騙される「不動産」不都合なカラクリ 業界を知り尽くすプロたちが明かす現実

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夏原:最後にレインズの一般開放についてですが、不動産仲介業者しかレインズを見られないのはエンドユーザーとの情報の非対称性を増長させているので、私も一般開放するべきだと思います。

深谷:例えばアパートを借りようとしてA不動産に行っても、B不動産に行っても、物件は大体同じということを知らない消費者も多いですからね。不動産屋に貼り出される情報は、レインズに登録されているものが大部分。それなのに、「この物件は当社だけが……」などと、あたかも自社が優位な立場にあると誤認させ営業を始める不動産屋も多いです。

夏原:レインズを一般開放すれば、そういったことがなくなるだけでなく、誰もが幅広く売り出し中の物件を検索できたり、購入希望物件を専任媒介している業者へ直接アプローチでき、より取引がスムーズになり、業界の活性化にもつながるはずですからね。

大切な人が家を売買する際に自分の会社に託せますか?

夏原:ここまでわれわれの対談を読んだ読者の中には、もしかしたら深谷という男は自分も不動産業界の人間のくせに、何をきれい事ばかり並べているんだと思っているかもしれませんね。

深谷十三(ふかや じゅうぞう)/株式会社不動産流通システム(REDS)代表取締役。1964年生まれ。家電店の営業マンから、昭和63年に不動産業界に転ずる。平成20年、21世紀に相応しい不動産仲介モデルを目指して不動産流通システム(REDS)を設立

深谷:ハハハハハ。

夏原:実際は深谷さんが社長を務めるREDS(不動産流通システム)は、基本的に両手仲介を行わず、仲介手数料を割り引くなど正直営業をしつつ順調に成績を伸ばしていますよね。

深谷:ありがたいことで、3年前にお会いしたときと比べ、社員は3倍近く、売り上げは4倍になりました。当時、店舗は秋葉原だけでしたが、今は渋谷に支店ができ、横浜支店を準備中です。

夏原:コロナの影響で苦戦する不動産屋が多いなか、REDSの好調の理由はどんなところにあるんですか?

深谷:1つは、われわれの営業マンは全員が宅建資格持ちで、平均年齢も他社より高いベテランが多く、専門知識と経験を持ち合わせているということでしょうか。

また、囲い込みを伴う両手仲介をやっていないので、買いたい方にはできるだけ安く買えるよう、売りたい方にはできるだけ高く売れるように努めることができます。こういった部分が評価していただけた結果なのではないかと思います。おかげさまで、お客様に新たなお客様を紹介していただけることも非常に多いんです。

夏原:営業マンは他社からの転職組も多いとのことですが。

深谷:ええ。私は自社でも他社でも営業マンと話す機会があると、「もし自身や両親、兄弟、親友が家を買ったり、売ったりするのなら、自分の勤めている不動産会社に託しますか?」ということを聞きます。「何をきれい事を」と鼻で笑う人もいますが、なかには、その問いに「はい」と答えられず、考えた末に、うちに転職を決めてくれる営業マンがいるんです。

夏原:つまり、大切な人の家の売買を自社には任せられないと考える営業マンが多いということですね。

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