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大半の人が騙される「不動産」不都合なカラクリ 業界を知り尽くすプロたちが明かす現実

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  • 夏原 武 ルポライター、漫画原作者
  • 深谷 十三 不動産流通システム(REDS)代表取締役
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深谷:そうです。もちろん会社の利益を優先するなという話ではまったくないんです。ただ、売る場合でも買う場合でも、お客様のことをまったく考えず、自社の利益だけを追求した結果、どうなるか? バッチリ儲けて取引が終わったとします。何も知らないお客様が何かのタイミングで会社に電話をしてきたとき、担当者は“バレた”と居留守を使ったりするわけです。「そんな働き方で本当にいいのか?」ということです。

まさに『正直不動産』の主人公・永瀬財地(ながせ さいち)のようにウソをつかず、お客様に真正面から向き合う。だからこそ紹介も増えているんだと思います。

夏原:居留守を使う不動産屋の営業マン、本当に多いですよね。契約が成立したら、「はい、サヨナラ」というスタンスの人が多すぎる。それをとがめたら、「お客様とは一期一会。契約の席で一度お会いすれば十分」と開き直っていました。おいおい、それは一期一会の誤用だろ、と。

消費者以上に業者が読むべき『正直不動産』

『正直不動産(9)』(小学館)書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

©大谷アキラ・夏原武・水野光博 / 小学館「ビッグコミック」連載中

深谷:理想を言えば、自分の仕事が社会の役に立ち、さらに自分も潤う。そういう職場であるべきですよね。

夏原:そうですね。金になればいいとだけ考えている会社は、客だけでなく社員も大事にしませんからね。今、勢いがある某不動産会社なども新卒を何百人と採用し、夏には数人しか残らない。そんな社員を使い捨てにするようなやり方では、いずれ立ち行かなくなるでしょう。

深谷:私もそう思います。やはり営業マンも会社も、正直で誠実であるべきです。そのためにも、『正直不動産』を消費者以上に、業者が読むべきだと私は思います。

先日も全日本不動産協会で法定研修会というものがありました。これは業界関係者であれば受講すべき内容のものですが、実際のところ、いつも参加者はまばらです。これにも、プロとしての意識の高い当社では、営業マン全員が受講しました。『正直不動産』でも描かれていましたが、4月には民法の改正もありましたから、今までにはなかった新たな問題が今後発生します。

夏原:つねにアンテナを張らないと、不動産業者自体が時代に追いていかれる時代ですよね。

深谷:そうなんです。『正直不動産』で以前取り上げられていた、「賃貸契約の場合、仲介手数料は賃料の1カ月分というのは、本来は貸し主、借り主がそれぞれ0.5カ月分ずつ支払うもの。借り主の了解があった場合のみ1カ月分を借り主が負担することが可能」というエピソードがありましたよね(単行本第8集所収)。

お恥ずかしい話ですが、私はこれを忘れてまして、漫画を読んで改めて思い出しました。これを読んでドキッとする不動産業者も多いことでしょう。さまざまなトラブル回避のためにも不動産業界の人間こそ『正直不動産』を読むことをお勧めしますね。

夏原:ありがとうございます。作品内で永瀬には正直営業で引き続き頑張らせますので、ぜひ深谷さんは現実社会で正直営業を続けてください。

深谷:はい。お互い、少しでも消費者のお力になれるよう、これからも頑張りましょう。

(取材・文 / 水野光博 写真 / 三輪憲亮)

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