小2で自宅が全焼した人が30年抱えてきた本音 「車中泊」生活に、子ども心に思っていたこと

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なお、この頃父親がどこで生活していたかは、よくわからないそう。おそらく、店の一角に寝泊まりしていたのでしょう。父親はその後も離れて暮らしていましたが、湊さんが大学生のときに病に倒れてしまいます。それから亡くなるまでの間は、毎週のように家族が病室に集まり、いい時間を過ごせたということです。

あの頃の自分に「弱音を吐いていいよ」と言ってあげたかった

子どもの頃、どんなふうだったら、多少ともつらさを感じずに済んだか? 尋ねると、湊さんは「親でも先生でもない、話を聞いてくれる人がほしいと思っていた」と言います。

「とくに5年生で転校してからは、両親の不仲を目の当たりにするわけですよね。店は一緒にやっているけれど、明らかに仲がよくなくて、別々に住んでいる状態。学校も嫌だし、家も嫌。その時期がつらかったので、逃げ場所がほしかったなって思います」

こうだったらよかった、と思っているだけではありません。なんと湊さんは、子どものとき「いてほしかった大人」に、自らがなっていました。司書の資格を取って、中学校の図書室で働いていたのです。

「たぶん、誰も頼れなかったあの頃の自分に、『だいじょうぶ、あなたが弱音を吐いていい場所はここにあるよ』って言えるポジションになりたかったんですね。でも結局、正規職員になれなくて食べていけなかったから、いまは別の仕事をしていますが。でも本当は、お金はどうでもいいっていうくらいその仕事を続けたくて。

子どもたちも私が離職するときは泣いて見送ってくれて、親御さんからもお礼の手紙をいただいたりして。スクールカウンセラーやソーシャルワーカーの方につないだり、『そこまでは司書のやることじゃないだろう』ってところまで、ちょっと越権してしまっていたと思うんですけれど」

子どもたちにとっても、保護者にとっても、こんな大人が子どもたちの近くにいてくれたら、どんなに心強いでしょう。

「子どもたちは昼休みや放課後に(図書室に)来るんですけれど、1回、2回で話すわけじゃないんです。2カ月とか3カ月とかちょろちょろ来ながら、『おや?』と思うような言葉をぽろっと漏らす。つらくても子どもなりにプライドがあるから、そのつらさを簡単には大人に見せたくないんですよね。言えばやっぱり親が責められるっていうのもあるし。

学校司書っていろんな勤務の仕方がありますが、私はフルタイムでいられたのでよかったです。週に何回かだけとか、昼休みだけとかだったら、関係は築けなかったと思うので。司書じゃなくてもなんでもいいんですけれど、いつも『同じ人』っていうのが、子どもには大事かなって。そういう立場になれたらって思います」

オンラインの取材が終わって間もなく、湊さんから、取材の途中で泣いてしまったことを詫びるメールが届きました。でも正直なところ、私は少しうれしいような気持ちを感じていました。ちょっと彼女の役に立てたような気がしたからです。

子どもにも大人にも、あらゆる人に、「弱音を吐ける場所」があってほしいものです。

当連載では、さまざまな環境で育った子どもの立場の方の話をお聞きしています(これまでの例)。詳細は個別に取材させていただきますので、こちらのフォームよりご連絡ください。
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