リアリティ番組原因で自殺未遂した歌手の告発 木村花さんの悲劇繰り返すアメリカの異常事態

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最新の出演番組でも不当な描かれ方をされたことから、「2ヵ月前にプロデューサーらに対し具体的に問題点を挙げて改善を申し出ましたが、無視されてしまいました」。

自分はいつも良き母、良き娘、良き恋人であろうとし、実際にもそうだと思っているのに、「私が本当はどんな人なのかなど、(番組の制作者にとって)何の意味もないのです」とも嘆く。

この手紙には書かれていないが、メディアが報じるところによると、番組が彼女を「怒ってばかりいる黒人」として描くことに、とりわけ悲しみを感じていたようである。

自殺未遂をきっかけに「使命」を見つけた彼女

「自分は視聴率と企業の利益だけに存在するのだ」と感じるようになった結果、自殺未遂の前にはもはや戦う気も失っていたと、ブラクストン。だが、それを乗り越えたことで、自分がやるべき使命が見つかったという。それは、「リアリティ番組が正しい倫理のもとに制作される」ように働きかけていくことだ。

「リアリティ番組の出演者には、組合もなく、明確な労働基準もなく、権利もなければ、意見も聞いてもらえません。番組側は『チャンスをあげたんだ』と言いますが、実際には搾取されるのです」と、彼女は指摘。とくに黒人をはじめとする有色人種の出演者はそういった被害を受けがちで、彼らのために戦いたいとも宣言した。

彼女の「その努力は決して無駄にはなりません」「私はこの目的に全力を尽くします」という言葉には、真剣さと決意の固さが見てとれる。『Tamar Braxton: Get Ya Life!』とも、早速縁を切った。それでも局側は収録済みのものは放映するそうで、そのせいでまた彼女が傷つかないか不安が残る。

しかし彼女が立ち上がったおかげで、重要な一歩が踏み出されたことはたしか。そして、それはずっと前から必要とされていたことだ。リアリティ番組では、あまりにも多くの人が名誉を毀損され、心に傷を負わされてきたのである。

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