「説明が的を射ない人」と上手な人の決定的な差 カーナビのように「構造化する力」がカギだ

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どうすれば「わかりやすく、かつ論理的に説明する」ができるようになるか。拙著『数学的に考える力をつける本』で詳しく書いていますが、私の結論を申し上げると「数学的な説明をする」となります。

数学的な説明とは、構造化して伝えることです。

そして構造化とは、次の2要素からなります。

A 説明する内容を塊で捉える
B 塊を矢印(→)でつなぐ

塊で捉えるとは、要素に分解することを意味し、矢印(→)でつなぐとは論理展開をつくることを意味します。とても抽象的なので具体例を挙げましょう。

(問題例)
五角形の面積をどう求めるか説明しなさい
(回答例)
① すべての五角形は3つの三角形に分解できる
↓(さらに)
② 三角形の面積は(底辺×高さ÷2)で求められる
↓(そこで)
③ 3つの三角形の面積をそれぞれ求める
↓(すなわち)
④ 3つの面積を合計すれば五角形の面積も求められる

数学に慣れている方はこれを無意識にやって答えを求めてしまいます。しかしその行為はこのように大きく4つの塊に分解することができ、それを矢印(→)でつなげていくことで説明できます。塊に分け、それを矢印(→)でつなぐ。これがいわゆる論理的でわかりやすい説明の構造になっているのです。

「カーナビ」をお手本にする

唐突ですが、カーナビを使ったことがありますか? 私はカーナビの説明が「わかりやすくかつ論理的に説明する」(すなわち数学的な説明)のお手本だと思っています。出発地と目的地を設定し、その(最短)経路を特定し、それを複数の塊に分解し、矢印(→)でつなげて説明を設計しています。

出発地点
↓(まずは1km直進して左折)
経由地A
↓(続いて5km直進して右折)
経由地B
↓(最後に300m直進すれば)
目的地周辺

カーナビの説明はある意味で完璧です。あれ以上わかりやすく説明しゴールまで導いてくれるコミュニケーションは世の中に存在しません。だから私は企業研修やビジネス書などで「カーナビのように話しましょう」と提案します。最初は「?」という反応がほとんどです。中にはバカにしたように鼻で笑うベテラン社員もいます。しかしその真意を説明することで最後は納得いただけます。カーナビのような機械的な話し方ではなく、カーナビのように構造化して話すのがわかりやすいということです。

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